旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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読んで見直す旅館の接客-心得編(2)-
顧客満足と利益体質の追求
接客サービスの品質向上
読んで見直す旅館の接客-心得編- 第2回は顧客満足と利益体質の追求についてです。
1.期待される商品とサービスを提供する
お客様が満足だと感じるのは、どのような時でしょうか。
例えば、街中のレストランに行ったとしましょう。初めてのお店であれば、外から見える店内の雰囲気はもちろん、できればメニューや値段について知りたいと考えるでしょう。そのようにして、実はだれしも期待感のレベルを調整しているのです。
以前利用したことがあるお店やチェーン店、あるいは他の人がそのお店について評価している口コミを知っているお店の場合は、どうでしょう。
おそらく、自分が知っているそのお店の状態が今回も再現されるだろうと想像するはずです。
それらの期待感や想像から大きく外れることなく、また新たな問題がなければ、私たちは満足します。もう一度来ることがあるかどうかは別にして、ともかくも今回は満足します。
逆に、想像していた状態とは違う、新たな問題が起きたという場合は、私たちは不満を感じます。クレームとして申し立てたり、インターネット上に口コミを公開したりするかどうかは別にして、今回は不満を残します。
お客様は、期待している状態で満足し、期待に届かない状態で不満を感じます。
つまり、私たちはお客様の期待感を知っておかなければ、少なくとも満足していただくことができません。
お客様の期待感を把握するためには、まず、自分がどこかのお店に入った時にそこで働いている人がどのような働き方をしているとうれしいか考えてみることです。基本的に期待されるのが、この働く人の印象だからです。
次に、同じ価格帯の他館の商品やサービスをよく研究すること、宿泊施設以外のサービスでもお客様を喜ばせていることはどのようなことなのか知ろうとすることが、大切です。
また、今すぐ期待に応えられることばかりではなくとも、この先努力していく方向を見出すために、お客様の期待感を知っておきたいのです。
2.期待を超えるホスピタリティーを示す
サービスの一部と重なってはいますが、より精神的なもの、決められた方法を伴わないものが、ホスピタリティーです。ホスピタリティーは、出会うことができた喜びと、お客様が心地よく過ごせるようにお手伝いしたいという自発的な思いから出てくるものです。
私たちは、決められただけのサービスを提供するのではなく、お客様ひとりひとりの異なる要望や状況に対応する質の高いサービスを提供したいと思います。その時になくてはならないものが、このホスピタリティーです。
例えば、玄関の外まで出てお出迎えをすることがサービスの形だとすれば、お客様の到着に気づくのが遅れて外へかけ出していくのがホスピタリティーの提示です。
外へかけ出すという行動は、お客様のご到着を喜び、早くお声がけしたい、お手伝いしてさしあげたい、という気持ち=ホスピタリティーによって出てくるものです。ホスピタリティーは、このようにより自発的に示され、また予め決まった形がありません。
ですから、ホスピタリティーはお客様の期待していない状況や期待していない行動で示されることが多く、お客様の心に少なからず驚きを与えます。
※この驚きのことを、最近は「サプライズ」と言って、特にホテル業界レストラン業界では、演出のひとつとして注目しています。
さて、期待を超える応対に対する驚きは、大きさは様々ですがお客様には感動として心に残ります。
ひとりひとりのお客様を大切に思い、気にかけることによってのみ、本当のホスピタリティーは実現します。このホスピタリティーが、すべてのことばと行動の基盤にあることが、顧客満足の要になります。
3.お客様に信頼される
さらに、期待を大きく超える応対や、期待を超える応対がいくつも積み重なると、感動はお客様の中で「感謝」の気持ちに変化します。
そして、それこそが「真の顧客」として、私たちを信頼し信用してくださるお客様が生まれる時なのです。
私たちのファンとして、ご本人がぜひまた来たいと思ってくださるばかりでなく、他の人たちに知らせたいと思って行動してくださるようになるのです。
4.正しい考えで利益を求める
顧客満足を追求する態度は受け入れても、利益を追求する態度は、お客様の代わりに数字のことばかりを考えているようなイメージを持たれるのか、嫌われるふしがあります。
けれど、本来の利益は、人間で言えば健康な体のようなものです。健康な体があればこそ、やりたいこともでき、新しい楽しさを見つけることもできるのでしょう。
利益があればこそ、理念の実現が可能になるのです。世の中の役に立ち、お客様に喜びを与える私たちであるために、健全な利益を求める必要があるのです。
ところで、健全な利益というのは、お互いの喜びの結果として得られるものです。人をだましたり、弱い立場の人から搾取したりすることで得る利益ではありません。
ですから、正しい考え方で利益を求めるには、お客様に喜んでいただける商品を、効率よく効果的に提供しなければなりません。また、仕入れ先や協力先にも、私たちと商売をすることが喜ばしいことでなければならないのです。
5.顧客満足につながらない無駄づかいをしない
利益を求めるために日々心がけるべきことは、「無駄づかいをしない」ということです。
お客様の満足につながらないことに費用をかけるべきではありません。エアコンの効かせ過ぎ、水道水を流したままその場を離れる、お客様用の新しいおしぼりをパントリーで使ってしまう、など、見渡せば気になることがたくさんあるものです。
時間の無駄づかいもあります。備品の管理ができていないと、いつも探さなければ使えないという状態になります。探している時間はお客様のためになっていないどころか、困らせています。
ですから、備品の管理は利益につながる大切な仕事なのです。
また、例えばお料理の器が一枚割れたとしましょう。高価なものは、数千円の値段がするものもあります。
この1枚のために、今日のお客様おひとりからせっかくいただけるはずだった利益を失ってしまうのです。おひとりではなく何人分にもなるかもしれません。また、このお客様をもてなすために、どれだけの人の努力が必要だったかを考えてみてください。
たった一枚の器が割れるだけで、そこに関わる利益と努力の全てを無駄にしてしまいます。
「もったいない」という意識を、しっかりと持ちましょう。
利益が生まれるところには、利益が生まれる体質があるのです。
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