株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

読んで見直す旅館の接客-心得編(1)-
理念の共有

接客サービスの品質向上

読んで見直す旅館の接客「基礎編」は、ご活用いただけましたでしょうか。 なぜ良い印象が必要か、印象を高めるためにどのような習慣を身につけたらよいか、から始まり、会話力をつけるために取り組みたいこと、印象の良い話し方のポイントまでを、4回に分けて読んで考えていただく内容でした。 今回のレポートは、『顧客満足』という接客の大命題を取り上げます。 ことばを理解するだけではなく、自発的な行動につなげていただくためヒントを交えて、4回に分けて読み進めていただけるように用意いたしました。    

【テーマ1】理念の共有
【テーマ2】顧客満足と利益体質の追求
【テーマ3】商品開発と情報発信
【テーマ4】私たちの喜び

 

 

1.理念を理解する

まず、経営理念について、考えてみましょう。

経営理念というのは、その企業が社会に存在する価値観を示すものです。
社会に対して何ができるのか、どのような役に立ちたいのか、などを表しています。私たちの会社の思い入れや行動姿勢、すなわち「熱い思い」を示しているということです。
綱領、社是、社訓などの表題で示されることもありますし、明文化されず経営者の話として示されることもあります。

私たちは、仕事を通じてこの組織の活動に参加しているのですから、「私たちは社会に対して何ができるのか」「私たちはどのような役に立ちたいのか」の答えが同じ方向に向かっていなければなりません。
私たちの会社の理念を今一度確認しましょう。そして、私たちの考え方と行動の拠りどころが、ここにあることを認識しておきたいものです。

 

 

2.理想像をイメージする

理念の確認をし、皆で理念を共有していることは重要ですが、それだけでは必ずしも行動に結びつきません。行動するためには具体的な理想像が必要です。

そもそも「具体的」という状態は、頭の中に映像として思い浮かべることができる状態のことをいうのです。私たちが目指している理想的な状況を思い起こしてみましょう。

例えば、『豊かな自然を愛し、訪れる人々に豊かな時間を提供する』と、理念にうたっている場合を考えてみます。
お客様をお迎えするロビーの様子を思い浮かべてください。窓の外には、木立や山並みが見えるかもしれません。
テーブルの上に目を向けてみましょう。灰皿の他に何があると似合うでしょう。フロントカウンターの上にもあるといいかなと思うものがあります。
そうです。野山の草花などが飾られている様子を想像しませんか。
それでは、お客様との会話はどうでしょうか。お天気を訊かれたお客様に「明日には雨が上がるように聞いております。」で終わらず、「雨上がりの○○の景色をぜひみていただければと思います。」ということばが、思わず口をついて出てくるのかもしれません。

お料理はどのようなものになるのでしょうか。まさに地産地消の季節の素材を活かした献立で提供されるのではないでしょうか。
係の人も「この人参は、あちらに見える畑で作ってもらっています。」と教えてくれるかもしれません。

このように、どの場面どの人を切り取ってみても理念につながっている状態を、だれもが鮮明にイメージできるようにしたいものです。
さらに、そのイメージの中のお客様の表情を思い浮かべてみてください。お客様の満足されている姿が見えますか。

理念は社会的な価値観、つまり社会やお客様に喜ばれる存在でありたいという意志が示されています。そうである以上、理想像の中にお客様が満足しているイメージを置くことが求められるのです。

 

 

3.組織力を高める

たとえお客様との関わり方や表現の仕方がそれぞれでも、だれもが同じ方向に向かって考え、同じ方向に向かって行動を起こした時に出てくる力を「組織力」といいます。
その「組織力」は、理念の共有を前提として、お客様が満足しているイメージを持ち続けることで、高まります。

 

 

◆リョケンでは、旅館・ホテルの接客力向上のための講座を定期的に開催しています。研修の講師派遣も承ります。また、書籍・eラーニング接客講座もございます。
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