株式会社リョケン

旅館経営の知恵

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旅館のユニバーサルツーリズムへの対応~まとめ~

ここまで、旅館のユニバーサルツーリズム対応について、事例に基づきながら対応のポイントや、注意点についてお伝えをいたしました。最後に、ユニバーサルツーリズムに対応するメリットやまとめをお伝えいたします。

ユニバーサルツーリズムに対応するメリット

(1)誰にでも優しい宿として認知されブランド力強化に繋がる

誰にでもやさしい宿を目指して施設やサービスを整備していくことで、他の施設との差別化が生まれ、ブランド力の強化に繋がると考えます。

 

実際に私が訪問している施設でも、「みんなのトイレ(多機能トイレ)」を新設し、SNSで情報発信したところ、100 万以上のインプレッション数(表示回数)となり、多くの人にこういった取り組みを進めている宿として認知されるきっかけになりました。こうしたことに多くの人が関心を持たれていると改めて感じました。

 

 

(2)新たなお客様層を獲得できる

 

お客様を増やすために何かの改善を図ろうと考える場合、とかく既存の客層に対してどうするかということだけで考えられがちです。もちろん、それはそれで大切なことですが、視点を変えてみましょう。

 

冒頭に述べた通り、ユニバーサルツーリズムの市場は拡大しています。そういった市場に対してモノやサービスを整備し、適切に情報発信をすることで、新たな客層の獲得による売上の拡大が期待できます。

 

 

(3)組織が活性化され、サービス力も強化される

 

このようなお客様を受け入れるには、さまざまな状況を想定し、一層きめ細かな配慮をすることが重要となります。スタッフが中心となり、どのような配慮ができるか考えてみましょう。新たな客層へのサービスを考えることで、スタッフの意識啓発やモチベーションの向上、さらには組織の活性化も期待できます。
また、実際に取り組みを進めていくと、新たな課題が次々と浮き彫りになるでしょう。こうした課題に宿全体で取り組むことで、サービス力に磨きがかけられ、新たなお客様だけでなく、既存のお客様からの評価向上にもつながっていくはずです。

 

観光施設における心のバリアフリー認定制度

観光庁では、観光施設のさらなるバリアフリー対応とその情報発信を支援し、ご高齢の方や障害のある方がより安全で快適な旅行をするための環境整備を推進しています。

 

バリアフリー対応や、その情報発信に積極的に取り組む観光施設を対象とした、「観光施設における心のバリアフリー認定制度」を創設しています。これに認定された観光施設には、観光庁が定める認定マークが交付されます。

 

また、同制度のホームページ上には、「高齢の方・障害のある方などをお迎えするための接遇マニュアル」や宿泊施設のための研修動画、認定施設の取り組みの紹介など、参考になる教材もあります。

 

ぜひ、こういった教材も活用し、心のバリアフリーの認定を目指していただければと思います。

 

「観光施設における心のバリアフリー認定制度」のURL
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/innovation_00001.html

 

まとめ

ユニバーサルツーリズムと聞いても、その対応自体がとても大変なことで、なんとなく他人事のように捉えられていた方も多いのではないでしょうか。
しかし、基本的には、障害のある方も普通の旅行をしたいと考えています。そのために、当館が今の施設を前提としながらも、お客様がどのようなところで困る可能性があるのか、困っているお客様にどのように配慮ができるかと、順を追って一つひとつ考えていけば、対応できることはたくさんあるはずです。本レポートにより、そのようなことを見つめ直していただくきっかけになれば幸いです。

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