旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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旅館のユニバーサルツーリズムへの対応~適切な情報発信~
接客現場のオペレーション
前回までの事例を踏まえ、いくら前向きに取り組んだとしても、対応には限界があります。 できること、できないことを明確にし、それをお客様に伝え、納得した上でご予約いただくようにしましょう。
(1)対応状況の把握
当館がどれだけのことに対応できているのか、改めて確認することをおすすめします。観光庁が発行している「宿泊施設におけるバリアフリー情報発信のためのマニュアル」のなかで、高齢の方や障害のある方が施設の利用可否を判断するために必要な情報をまとめた『チェックシート』がありますので、それを基に当館用にアレンジして情報を集めておくとよいでしょう。また、こういったチェックシートは地方自治体で独自で出しているところもあるので、それらを参考にしていただくのもよいと思います。
(2)対応状況の情報発信
チェックシートと当館の施設を照らし合わせると、それなりに当てはまることころがあるはずです。どんなに小さなことでも、まずは自社HP、OTAなどで、その情報を伝えていくとよいと思います。バリアフリー客室の有無、館内の段差の有無(あるようであればその場所)、貸出備品の有無、多機能付トイレの有無、入浴時の手すりの有無、入浴介助の対応、食事の対応(刻み食やとろみ食等)といった基本的な情報から掲載していただければと思います。ここで肝心なのは、できることだけを記載するのではなく、できないことも伝えておくことです。
本格的に取り組んでいる施設であれば、自社HPにその専用ページを新設して、より細かい情報を写真付き等で掲載していただくと、PRにもなります。
SNSを活用されている施設も多くあると思います。当館の取り組みを発信する場としてSNSも活用していただきたいと思います。基本的な対応状況の発信はもちろんですが、SNSはよりタイムリーに情報を伝えられます。新たな取り組みや、実際に当日来られたお客様のサポートをしている様子(お客様の了承が必要となりますが)なども随時発信できるとPRにもなります。
(3)予約前に確認をする
施設から詳細に情報発信をしたとしても、それで十分ではありません。安心して施設を利用していただくために、事前にコミュニケーションをとり、設備や備品、サービスの内容について、お客様と確認をするようにしましょう。一から確認するとスタッフの手が取られてしまいます。聞きたい事項をとりまとめた問診票のようなものを用意しておくとよいでしょう。そのうえで、対応できる範囲を伝えることで、お客様にも安心して来館いただけます。
スタッフにより問い合わせ対応に差があると、思わぬトラブルを招くことにもなります。当館の対応状況を取りまとめた『セルフチェックシート』を共有し、すべてのスタッフが同じレベルで対応できるようにトレーニングをしておくとよいでしょう。
コミュニケーションの手段は、障害の特性やお客様の心身の状況によって異なります。電話だけでなく、メールやFAXなどでも問い合わせ対応ができるようにしておきましょう。
受け入れ当日は、事前にコミュニケーションで得た内容(お客様の特性や必要とするサポート等)をスタッフ全員で共有しておくことが大切です。宿全体でお迎えをする態勢を整えましょう。
次回は、ユニバーサルツーリズムに対応することによるメリットについてお伝えします。
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