株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

旅館のユニバーサルツーリズムへの対応(第五回)

接客現場のオペレーション

前回に引き続き、事例に基づく対応ポイントについて考えていきます。

事例に基づく対応ポイント

【食事】

 

a)料理の場所の説明をする

 

視覚に障害のある方に料理の場所を説明する方法として、障がい者から見た方向を時計の短針に例えて伝える「クロックポジション」という方法があります。向かって奥が 12 時、右が3時、手前が6時、左が9時となり、「12 時の方向に○○、2時の方向に△△が置いてございます。」というような説明をします。
また、追加の配慮として、スタッフは単に場所を言葉で伝えるのではなく、お客様の手を添えるように料理のところへ動かして差しあげながら説明すると、より確実に伝わります。もちろん、突然触れられるとびっくりしてしまうので、まず、お声がけをすることを忘れないでください。

 

b)料理の魅力を伝える

 

料理に使われている食材のこだわりや、料理のストーリーを伝えていくことが大切であることは言うまでもありませんが、それに加えて、視覚に障害のある方には、盛付けや器といった、料理の見た目に関する情報もお伝えするとよいでしょう。

 

c)バイキングのお料理マップや会場サインを作成する

 

車いすの利用者は目線が低く、バイキングカウンターの上に何が載っているのか一目でわからないことがあります。バイキング会場のどこに何が置かれているのかがわかるA4サイズ程度のお料理マップを用意し、お客様にお渡しするとよいでしょう。
料理の名前や、魅力を伝えるサインについても、様々なお客様が来館されることを前提に、本当に見やすいか、しっかり伝わっているかをもう一度確認してみましょう。

 

d)お品書きも一工夫する

 

お品書きの多くが日本語のみで書かれており、外国人の方は読めないでいることもあるかと思います。近ごろでは、料理の日本語表記に合わせて、日本語のローマ字表記と英語名を併記している施設も多くみられます。日本語のローマ字表記をあえて入れているのは、日本人スタッフが日本名で料理を説明した際に、どの料理のことを言っているのかがわかるようにするためです。また、食べ方の説明が必要なものはイラスト付きで説明すると、誰にでもわかりやすいお品書きになります。

 

次回も引き続き事例に基づく対応ポイントについて考えていきます。

 

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