旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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旅館のユニバーサルツーリズムへの対応(第一回)
接客現場のオペレーション
最近、ユニバーサルツーリズムという言葉を耳にする機会が増えてきました。各地方自治体でも、独自でその理解を深めるための研修などを開催しているほか、各種補助金の申請時に、この取り組みが審査の加点とされることもあるため、多くの方が何度も耳にしている言葉だと思います。「ユニバーサル」とは、「すべてに共通の」「普遍的な」という意味で、ユニバーサルツーリズムを日本語で言い換えると、「すべての人のための旅行」となります。つまり、高齢や障害のある方はもちろんですが、それだけではない、すべての人が楽しむことのできる旅行のことをいいます。とはいえ、宿泊業が新たにユニバーサルツーリズムに取り組む上で中心となるのは、高齢者、障がい者、乳幼児等となりますので、本コラムではそういった客層への対応を中心に述べていきます。
ユニバーサルツーリズムの市場の広がり
観光庁の情報によると、国内総人口のうち、高齢者や障害のある方の割合は3割以上とされています。旅行や宿泊は、障がい者単独だけでなく、家族やグループといった同伴者がいる、あるいは介助者や引率者を伴った団体である場合が多いため、その市場はさらに大きなものと考えられます。さらに、障がい
者手帳などを持たない、潜在的に障害を持つ方は人口の 10%程度あると言われおり、支援を必要としている人は多くいます。
2016 年にじゃらんが、足腰に不安を抱える方やその家族、友達を対象に、旅行先のバリアフリー対応に関する意識を調査した結果、全体の 91.7%が「旅
行をしたい」と考えている一方、その約半数が「旅行をあきらめている」ということが分かりました。
実際に私自身、バリアフリー専門旅行会社主催の「ユニバーサルツーリズムにおける合理的配慮」の研修会へ参加した際、障がい者や関係者の体験談の中で、旅行先での不安や恐怖といったことに加えて、「目が不自由でもその土地の風を感じたい」「身体が不自由でもいろいろなところに出かけたい」といった思いがあることを聴き、まだまだそういった受け入れ環境は不十分なのだということを実感しました。
そして、こういった方々が楽しめる旅行環境を整えることで、観光業界はもっと盛り上がっていくと感じました。
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