旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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旅館の「DX」を考える 2. DXのファーストステップ
旅館・ホテルのデジタル活用
世の中でデジタル化が加速していることは、旅館の皆様もご承知のことでしょう。しかし、「リモート会議」「テレワーク」などの印象が強く、対人で直接サービスをする旅館にとっては、あまり関係のないことと感じていないでしょうか。DXはオフィスワークだけに必要なことではありません。前章で述べた通り、社会に変化をもたらしつつある新たな技術を活用し、すべての業種が新時代のビジネスのあり方を考える必要があるのです。 経済産業省のデジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会は、2020年12月のDXレポート(中間取りまとめ)において、「コロナ禍を契機に企業が直ちに取り組むべきアクション」として、4つのテーマをあげています。このテーマを旅館に当てはめ、デジタル活用度の低い施設がデジタル活用に踏み出す際の最初の一歩として考えられる例を示します。
(1)業務プロセスのデジタル化
●紙書類の電子化
保管が必要な書類をスキャニングしてデータとして保管する。共有が必要な書面をデータ化して、紙の回覧の代わりに、データで共有する。
●情報共有ツールの活用
情報共有のアプリケーションであるグループウェアや、Web上のコミュニケーションツールであるチャットツールなどのクラウドサービスを利用し、これまで掲示板などに貼り出していた総務的な社内連絡や情報共有をデジタルで行う。全員がスマートフォンを所有できない場合は、事務所やパントリーに共用パソコンを置き、出社時に必ず閲覧するようにする。
(2)顧客接点のデジタル化
●ホームページコンテンツの見直しとチャットボットの導入
「よくある質問」を整理し、ホームページや予約システム等の表記を見直すとともに、「よくあるご質問と答え(FAQ)」を掲載する。それらを踏まえて、チャットボットを導入し、お客様からのよくある質問への回答を自動化する。これにより、基本的なご質問の電話応対業務の削減が可能となる。
※チャットボット:AI(人工知能)を活用した自動会話プログラム
(3)業務環境のオンライン化
●旅行会社や団体の幹事様との打合せのオンライン化
Web会議システムを利用し、打合せをオンラインで行う。これまで遠方で電話連絡のみだったケースも、顔を見て資料を示しながらの提案が可能となる。
(4)従業員の安全・健康管理のデジタル化
●パルス調査(アンケート調査)システムを活用する
スタッフ向けアンケートをシステムで定期的に行い、ストレスチェック等でスタッフの心身のケアや組織内の課題を掘り起こし、早期に対応する。
※パルス調査:短時間で回答できる簡単なアンケートを頻度高く実施する調査手法。近年、従業員満足度調査などに利用されることが増えている。
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