旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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1.泊食分離
これから注目すべき旅館業界のキーワード12
泊食分離
リョケンでは10年以上前から「泊食分離」の考え方を提唱してきました。しかし、泊食分離販売を恒常的に行っている旅館は少ないのが現状です。都市型ホテルに近い営業形態を採っている旅館では、素泊まり販売を商品ラインナップに据え、販売しているケースもありますが、周遊観光の拠点やリゾート環境の中にある旅館では、宿泊代を分離し単独で販売を展開している例は少ないのです。経営面、運営面のコスト管理上の課題として、「宿泊と料理の料金の分離」の考え方を前提とした経費効率を設定しているケースが多いようです。これには、施設周辺に食事提供の出来る施設が無いため、食事なしの需要自体が少なく、定番商品として訴求出来ないという事情など、周辺環境の問題もありました。
今、敢えて「泊食分離」を再度掲げるのには理由があります。コロナを契機に「旅行の仕方」「観光地での滞在の仕方」が大きく変化してくる可能性があるからです。既に、「団体行動」「定番行動」から「個人化」「オリジナル行動パターン」への変化が顕著に表れています。更に、滞在型の利用の増加などを見ていると「宿泊と食事の分離販売」が不可欠な対応となるとみるべきだからです。
「食事を付けない宿泊のみの販売をした場合、お客様が困る」ということを言う時代もありましたが、今は情報化時代でもあり、事前に食事の提供がないことが分かっていれば、対処の方法はいくつでもあります。ネットで施設周辺の飲食店情報を収集し、予約・利用する。事前に食料を調達し、自前で対処する。近隣のコンビニで簡易的な食事を調達して済ませるなどです。旅館料理が絶対的な価値を認めてもらえる状況では無くなった、そのくらい旅行のスタイルが変わってきているということです。
それでは、「泊食分離」販売を行う上で、備えるべき商品・システムは何か? それは、料理選択のバリエーションです。会席料理1本というスタイルは中規模以上の施設では物足りなくなってくると思います。逆に、小規模で商品の特徴が明確に示されている施設では、顧客を絞り込むことができますので、泊食分離販売や料理の選択ができるシステムを採用する必要はありません。
中規模以上の施設では、多様な客層を受け入れるための対応策として「泊食分離(販売)」の採用、料理対応のバリエーション増加を考えていく必要があると思います。
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