旅館経営の知恵
-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-
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旅館の電話応対の基礎と応用(3)電話のかけ方 5つのステップ
接客サービスの品質向上
前回につづき、電話応対力を高めるためのポイントを見ていきましょう。
1.取次ぎのチェックポイント
かかってくる電話が、自分宛てではないことも多いものです。手がけている仕事を中断しなければならない上に、名指し人の居場所を探さなければならなかったりすると、お待たせしていることの焦りと手間取ることのいら立ちがおのずと起こります。
取次ぎのルールを持つことは、電話をかけてきた方と取次ぐ私たち自身の時間を無駄にしないばかりでなく、組織への信頼を高める重要な意味を持つものです。
スムーズでスマートな取次ぎのためのチェックポイントを確認してみましょう。
1)名指し人に、相手の名前とうかがった用件を簡潔に伝えていますか
「○○様から、来週の会議の件でお電話が入っております」
2)取次ぎのためにお待ちいただいている場合、30秒以内に経過報告や対処の確認をしていますか
「お待たせいたしております、○○は間もなくこちらに参ります、いま少しお待ちいただいてもよろしいでしょうか/こちらからおかけ直しさせていただくほうがよろしいでしょうか」
3)名指し人の居場所がわからない場合、あるいは思い当たる1箇所にいない場合、不在扱いにするルールがありますか(何箇所も探し続けない)
「お待たせしております、ただ今館内を移動中のようでございます、お差し支えなければご用件を承ります」
4)通話中・会議中・接客中を不在扱いとして返答するルールがありますか
「○○はただ今、他の電話に出ております」
「○○はただ今、席をはずしております」
「○○はただ今、接客中でございます」
* 上記の最中に取り次いでもらいたい電話がかかってくる可能性がある場合は、特定の方からの電話はメモを入れるなどして、取次いでもらいたい旨、電話に出る人たちに予め依頼しておくようにします
5)急用だと言われた時の返答のルールがありますか
「他の者が代わりに対応させていただくことはできますでしょうか」
「かしこまりました、ただ今メモを入れてまいります、こちらから折り返しお電話させていただいてもよろしいでしょうか」
「(このままお待ちになる場合)かしこまりました、急ぎ伝えてまいります」
* 相手の緊急度によって、上から順にことばを重ねて対処します
6)不在時または不在扱い時には、こちらから対処方法を提案していますか
✖「○○は外出しておりますが・・・(いかがしましょうか)」
◯「○○は外出しておりますが、連絡を取りまして、こちらからおかけ直しいたします、いかがでしょうか」
◯「○○は外出しておりますが、お差し支えなければご伝言を承ります」
〇「○○は外出しておりますが、他の者が対応させていただくことはできますでしょうか」
* 相手と名指し人との関係や用件を考慮し、より好ましい対処方法を提案しましょう
2.伝言を承る際のチェックポイント
相手の方が言われたことを正確に聞き取ることはもちろん重要ですが、その伝言を読んだ人がわかりやすいようにまとめること、対応に困らないように情報をこちらから引き出すことを、心がけましょう。
取次ぎと同様、賢明な伝言の承り方は組織への信頼を高めますが、同時に社内・社外双方に向けて、受けた人の能力の高さを伝えているように思います。
1)伝言メモの記載事項にルールはありますか、または伝言メモ用紙が用意されていますか
* 記載したい内容
① 相手の会社名/(部署)/(役職)/名前
② (折り返す場合・返答する場合)連絡先電話番号
③ 名指し人
④ 受信時間
⑤ 用件
⑥ 返答が必要な場合の期限/折り返し電話をする場合の都合のよい時間
⑦ 伝言を受けた自分の名前
2)確実に聞き取るためのコツを心得ていますか
① 名前が聞き取りにくい時、一度目は「おそれいります、もう一度お願いいたします」とたずね、それでも聞き取れない場合は「漢字(アルファベット)ではどのようにお書きしますか」とたずねます
② 長い用件は、途中で話の要点を復唱しながら進めましょう
③ 日付は必ず『日にち』と『曜日』で確認しましょう
④ 電話番号や住所は、最後まで聞いてから復唱するより、タイミングをうまく捉えて、区切りで復唱をはさみながら書き取るほうが確実です
3)返答が必要かどうか承っていますか
また、返答が必要な場合の期限を承っていますか
「お返事はいつまでにさせていただくとよろしいでしょうか」
「お返事は明日でもよろしいでしょうか」
4)折り返し連絡をする場合、都合のよい時間をうかがっていますか
「お電話を差し上げるのに、ご都合のよい時間はございますか」
5)折り返す場合・返答する場合の連絡先の確認をしていますか
「おそれいります、ご連絡先の電話番号をいただけますでしょうか」
「本人が承知しているかとは思いますが、ご連絡先の電話番号をいただけますでしょうか」
* よく承知しているお取引先の方の場合、会社の電話より携帯電話にほしい方もいますので、次のようにたずねるとよいでしょう
「お返事は、会社のお電話でよろしいでしょうか」
3.伝言を依頼する際のチェックポイント
伝言を承るのが上手な人は、伝言を依頼するのも上手です。承る際に情報を引き出しておきたい内容を、依頼する場合にはこちらから伝えておくのです。
そうすれば、伝言を受けた人は、「いつまでに返事をしなければならないか」「電話を折り返すのに都合のよい時間はいつか」「会社に電話すればよいのか、携帯電話にすればよいのか」、迷わずに対処することができます。
1)伝言を依頼する時は、メモに書き留めやすいように、もう一度名乗り直していますか
「それではおそれいりますが、ご伝言をお願いいたします
(メモを用意する時間を想定して)よろしいでしょうか
わたくしは、○○(社名)の○○と申します・・・」
2)伝言していただきたい内容を、順序よく簡潔に伝えていますか
* 名指し人が不在であることを想定して、電話をかける前に伝える内容を整理しておくよう心がけましょう
① 自分の会社名/名前
② 名指し人
③ 用件のタイトル
「○○についての確認/ご相談/お知らせです」
④ 用件の詳細(項目名と内容)
「開催日が、○月○日○曜日に変更になりました」
「欠席の方は、今週末○日○曜日までにわたくし○○までお知らせください」
「出席できる方は、返信は必要ありません」
⑤ 連絡先
「念のため、連絡先の電話番号を申し上げます、・・・」
3) 返答の要/不要を伝えていますか ※参照 2)④
4)返答がほしい時は、返答の期限を伝えていますか※参照 2)④
5)連絡先をこちらから伝えていますか※参照 2)⑤
6)こちらからかけ直す場合、名指し人の戻る時間や都合をたずねていますか
「それでは、お戻りの頃あらためてお電話させていただきます ご都合はいかがでしょうか」
(第4回へ続く)
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