株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

旅館の電話応対の基礎と応用(2)電話応対の手順と慣用句

接客サービスの品質向上

前回につづき、電話応対力を高めるためのポイントを見ていきましょう。

1.電話の受け方 5つのステップ

手順そのものは単純ですが、それぞれのステップで印象を高めるコツがあります。それらを自館の標準として統一していくことが、電話応対のレベルを上げることにつながります。

 

1)電話がなったら反応する
*  手元にメモとペン
*  利き手の反対の手で受話器を取る
*  コール3回までに取るべきと心得る

 

2)気を入れて名乗る
*  受話器を取る前にひと呼吸入れる(軽く息を吐く)
*  背筋を伸ばし、前を向いて、おでこから声を出す
*  固有名詞は意識的に発音する(はっきり、少しゆっくり)

 

3)ていねいに挨拶する
*  相手の方が名乗ったら、相手の方の名前を呼びかけて挨拶する
*  用件を述べられたら、取次ぎや本題に入る前にお礼やお詫びを伝える
「お問合せありがとうございます。ただいま、係におつなぎいたします」
「それは申し訳ございません。私は○○と申します。それでは・・・」

 

4)対処(対応・取次ぎ・伝言承り)
* 確実に承っていることが伝わるように、適切な相づちや確認を入れる
* 聞き取れなかったことばや名前は、その場で聞き直す
* 取次ぎ以外は、対処する人が名前を名乗ってから始める
また、対処を終える際にも名前を名乗る

 

5)電話を切る
* お客様が切ってから、あるいは無音になって3つ数えてから切る
* 電話を切るときは、受話器で切らず、指でフックを押さえて切る

 

 

2.電話の受け方 慣用句

1) 呼び出し音が1~2回のうちに受話器を取った時

✖→もしもし、○○ですが・・・

〇→はい、○○でございます
ありがとうございます(おはようございます)○○でございます

 

2 )お待たせして受話器を取った時

✖→お待たせしてすみません

〇→お待たせいたしました、○○でございます

 

3 )お客様が名乗り、返答する

✖→はいはい、いつもどうも・・・

〇→○○様、お電話ありがとうございます
○○様、いつもお世話になっております

 

4) 名前が聞き取れない

✖→すみません、ちょっと聞こえないんですが・・・

〇→おそれいります、もう一度お願いいたします・・・○○様でございますね、ありがとうございます

 

5 )社内の○○課長への取り次ぎ電話

✖→○○でございますね、只今おつなぎいたします/(セールスを疑う時)確認いたします、お待ちくださいませ
〇→只今席をはずしております
お差し支えなければ、私○○がご用件を承ります

 

6 )取次ぎの依頼・・○○課長は電話中

✖→○○課長は電話中なんですが・・・

〇→あいにく電話中でございます
終わり次第おかけ直しいたしますが、いかがでしょうか

 

7 )名前をたずねられる

✖→さっき言ったと思いますが、○○です

〇→失礼いたしました、○○と申します/申し遅れました、○○でございます

 

8) 取り次ぎ電話に出る時
✖→お待たせいたしました

〇→お待たせいたしました○○でございます

 

9)用件を自分で判断できない

✖→すみません、よくわからないので、○○から電話させますね

〇→かしこまりました、大切なお話でございますので、あらためて○○からお返事させていただきたいと思います

 

10 )締めくくりの挨拶

✖→ではまた、よろしくどうぞ・・・

〇→お電話/お問合せ/ご連絡、ありがとうございました、今後ともよろしくお願いいたします(またいつでもお申し付けくださいませ)

 

 

3.電話のかけ方 5つのステップ

受ける電話と違い、かける場合には心積もりをしてから対応を始められるので、準備さえすれば初心者でも不安は小さいものです。むしろ、慣れている人ほど習慣になっているパターンや、こちらのペースが相手の方に聞き取りやすいのか、都合がよいのかなど、気にかけなければなりません。

 

1)かける前に準備する
*  資料・話の要点/項目/順序
*  相手の方の都合を想像し、電話をかけるタイミングについて配慮する
(始業終業時間・食事時間・移動時間・朝や夜の生活時間など)

 

2)聞き取れるように名乗る
*  背筋を伸ばし、前を向いて、おでこから声を出す
*  固有名詞は意識的に発音する(はっきり、少しゆっくり)

 

3)用件と取次ぎ依頼/都合のおうかがい
*  取次ぎを依頼する場合、相手の方が準備や心積もりをして電話に出られるように、何の用件かを簡潔に述べる
*  都合のおうかがいについても、用件が簡単に済むことなのか、少し時間がかかりそうかで、相手の方の判断が異なることがあるので、時間がかかりそうな用件の時には、用件と共に都合を確認する
*  会話が一方的・説明的にならないよう、内容の区切れで質問をいただく

 

4)感謝の挨拶
* 具体的に感謝を述べて締めくくる
△「それではよろしくお願いいたします。失礼いたします」
○「ご都合を合わせていただきありがとうございました。失礼いたします」
* 恐縮の気持ちよりストレートな感謝のことばを述べる
△「お忙しいところ、失礼いたしました」
○ 「お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました」

 

5)電話を切る
* お客様が切ってから、あるいは無音になって3つ数えてから切る
* 電話を切るときは、受話器で切らず、指でフックを押さえて切る

 

 

4.電話のかけ方 慣用句

1) 電話をかける

✖→もしもし、○○ですが・・・

〇→わたくし、○○(社名)の○○(名前)と申します
ありがとうございます(おはようございます)○○でございます

 

2 )取り次いでもらう

✖→○○さんはいますか

〇→○○様は、いらっしゃいますでしょうか/○○様をお願いいたします

 

3 )不在のため、伝言を頼む

✖→それでは伝言してもらえますか・・・/実は先日の(用件)・・・

〇→恐れ入りますがどちら様でしょうか

 

4 )伝言を頼んだ人の名前を確認する

✖→すみませんがどなたですか・・・わかりました、お願いします

〇→恐れ入りますがどちら様でしょうか

 

5) 何時に戻ってくるか確認する

✖→いつお帰りですか

〇→お戻りの頃あらためてお電話いたします、ご都合はいかがでしょうか

 

6 )返事の電話をもらいたい

✖→電話をくれるように言ってください

〇→○日までにお返事をいただきたい旨、併せてお伝えくださいませ

 

7) 名前をたずねられる

✖→さっき言ったと思いますが、○○です

〇→失礼いたしました、○○と申します/申し遅れました、○○でございます

 

8) 不在だったため、もう一度かけなおした時
✖→先ほど電話した者ですが・・・

〇→たびたびおそれいります、○○でございます、○○様をお願いいたします

 

9) 話し中急に相手の様子が落ち着かなくなる

✖→聞こえていますか、もう一度言いますと・・・

〇→何か急用でございますか、またのちほどおかけ直しいたしましょうか

 

10) 締めくくりの挨拶

✖→ではまた、よろしくどうぞ・・・

〇→お電話/お問合せ/ご連絡、ありがとうございました、今後ともよろしくお願いいたします(またいつでもお申し付けくださいませ)

第3回へ続く

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