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離職を防ぐ!求められる現場の対応力 第四回 ~モチベーションの支え方・育て方~

前回、前々回のコラムに引き続き、現場リーダーが知っておくと良いことについて掘り下げていきます。 今回は(3)モチベーションの支え方・育て方についてです。

(3)モチベーションの支え方・育て方

現場のリーダーがメンバーのモチベーションを支え育てることで、生産性が上がるだけでなく、メンバーの働きがいやエンゲージメントが高まり、この職場にいることの幸福感を感じるようになります。モチベーションを支えたり、育てたりするためにはどのようなことが効果的なのか、考えておきたいと思います。

 

① 明確なビジョンの共有
現場リーダーは、会社全体のビジョンをチームのビジョンに落とし込んで、折に触れて語りたいものです。チームの一体感を生み出し、チームとしてどこへ向かっているのか、何のためにこの目の前の仕事に取り組んでいるのかを理解してもらうことが大切です。チームの一員として共に努力したいという気持ちを引き出しましょう。

 

② 目標の設定とフィードバック
目標はメンバーと共に設定したり、納得感のある目標設定にしていますか。また、定期的に進捗を評価し、フィードバックと目標達成のための行動修正を提案していきましょう。チームは目標を達成するために協力をしてくれるようになります。その結果、成功体験や成果を、喜びを持って受け止め、モチベーションが向上します。

 

③ 個々の強みの活用
メンバーの強みやスキルを理解し、それを活かす仕事を割り当てたり、新しい方法を考えましょう。「1オン1ミーティング」(1対1の個別面談)などは、その強みを理解する機会でもあります。自分の好きなこと、得意なことに取り組めることで、その仕事へのモチベーションを高めますが、その仕事だけでなく、「認められている」という自覚が、仕事全体へのモチベーションを高めます。

 

④ 挑戦的で貢献を実感できる仕事
挑戦的で、会社やチームに貢献できると思える仕事をメンバーに与えることや、そのような仕事だと伝えることに努めましょう。達成感や成長を感じることで自信が生まれ、自らモチベーションを維持できる状態になります。達成感や成長は、同時に「ここで働く理由」となり、離職を防ぐことに繋がります。

 

⑤ コミュニケーションとフィードバックの促進
定期的なミーティングの時間が設定できれば、取り組みの進捗や評価の共有、それと同時にメンバーのニーズを汲み上げる時間にします。ポジティブなフィードバックと改善のための提案することができれば、ミーティングが有意義なものだと感じてもらえるはずです。
ミーティングは、1日 10 分程度の連絡ミーティングが精一杯というところもあるでしょう。そこでは、問題への対処や業務指示ぐらいしかできないと考えるかもしれません。しかし、毎週土曜日はほぼ全員出ているというのであれば、土曜日は別メニューのミーティングを設定してみるのもよい方法です。毎週土曜日4回で月1回のミーティング代わりにすることを考えて、週替わりにテーマを決め、ニーズをヒアリングする対象者も一度に全員ではなく順番を決めて取り組んでみましょう。
共に取り組んでいることを感じることで、情報共有も自然に活発になります。

 

⑥ 成果や貢献の公正な認識
報酬だけが、成果や貢献を認めていることが伝わる手段ではありません。むしろ、成果や貢献を口頭でフィードバックすることを大切にしましょう。それなしに、モチベーションを維持することは難しいものです。報酬は衛生要因(あっても満足とはならないが、なければ不満となるもの)であり、上げた時にはモチベーションの向上に寄与しますが、一定額で推移している時には影響がほとんどありません。ですから、認めたり感謝したり、伝え続けることが大切なのです。
公正であることは、公表して理解されることが条件になります。例えば、評価対象として、新人教育を担当してもらった、プロジェクトのメンバーとして取り組んでもらった、勤続5年 10 年・・・の節目、半年間の無遅刻など、誰にでも認識しやすいものを設定し、半年ごとに評価を公表しているところもあります。表彰状・感謝状とともに金一封を添えるなどの制度を会社として検討する必要も出てきますが、各人の努力を認め合う風土づくりに役立つことですので、有意義と言えます。

 

⑦ フレキシブルな働き方のサポート
ワークライフバランスについてメンバーと共に理解を深め、事情に合わせた柔軟な働き方を前向きに相談しましょう。「希望を申し出れば、仕事とプライベートを両立できるかもしれない」と思えるように、サポートする用意があることを日頃から伝えておきましょう。

 

⑧ 日常の感謝と気遣い
どんなに優れた制度や取り組みも、毎日のあいさつや感謝の言葉に勝るものはありません。元気な挨拶は励ましに聞こえます。感謝の言葉は、幸福感と次の意欲につながります。「お先に失礼します」と遠慮がちに言うメンバーに、例えば何か手伝ってもらった日には、「お疲れ様でした」の代わりに「今日は手伝ってくれてありがとう」と言うことだってできるでしょう。たったひと言でも、心に届く言い方やことばはあるはずです。

 

 

現場リーダーはこのようにして、メンバーのモチベーションを高め、チームのパフォーマンスを向上させることができるのです。

 

今回のコラムを踏まえ、次回はそれでも辞職を考える方へのアプローチについて考えます。

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