旅館経営の知恵
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「宴会場の片付け手順」見直しのすすめ
接客現場のオペレーション
グループ・団体客の戻りは、コロナ禍以前とは様子が違うものの、本格的なものになってきました。宴会サービスの見直しや手順の再構築についてはすでにお伝えしましたが、今回は「宴会場の片付け手順」についてお伝えします。宴会場の片付け業務は、お客様への直接的な対応ではないこともあり、見直しが後回しになりがちです。しかも、幹部社員を含む多くのスタッフがすでに帰宅した後の業務なので、日々の現状を把握しきれていないように思います。一方で、サービスの担当者にとっては、モチベーションを保ちにくい時間帯と業務内容であることは間違いありません。労務管理の点から見ても、組織的に改善を進める必要があります。 ※本コラムは「新しい時代に対応した宴会オペレーション」の続きです。 新しい時代に対応した宴会オペレーションはこちら
1.片付け手順のポイント
1)効率を上げるためには道具の活用が有効です。
2)種類をまとめる作業をコンテナに入れる前に会場全体で行います。同時に残りものを処理してしまいましょう。
3)洗浄機に直接入れられる食器洗浄機用ラックの活用は効率を上げます。洗い場のスタッフが宴会場に出向いてこの作業をサポートする体制も組むことを検討します。
*宴会中の下げものにも有効
4)宴会サービス同様、全体の進行をコントロールすることは重要です。宴会リーダー(チーフ)は、メンバーに声をかけながら全体の状況を把握し、無駄のない進行をサポートします。
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2.基本手順
1.作業開始
1)飲み物コーナーの始末、飲み物伝票との付け合わせ
2)作業を始める際に、ビニール手袋(ポリエチレン製ではなく、手指にぴったりフィットするもの)の着用
*ケガや手荒れを防ぐこと、汚れたものに触れることへのためらいを軽減することなどのために必要です。
3)客席の空き瓶の回収
4)作業スペースの確保と忘れ物の確認
*会場のリセット(次に使うための準備)に合わせて、座椅子・座布団・椅子を移動します。片付けてしまうか、後ろに下げて(椅子の場合はテーブル下に収める場合あり)作業しやすいスペースを作ります。
*座椅子・座布団・椅子を移動する台車や収納兼用ワゴンがあれば、作業効率が上がります。
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2.残りもの処理と器の仕分け(※1)
1)グラスは残りを捨てながら集める
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*破損を防止し、手元の安全を確保すれば作業のしやすさにつながります。
*この作業には、ワゴンの使用が効果的です。和膳宴会では器を集めるコンテナ(盤重/バンジュウ)をセットした車輪付きの台座があると便利です。
*ワゴンや和室用の台座は、この後の食器を下げる際にも使用します。
*飲み物の残りを捨てるための容器と食器洗浄機用ラックを使用することで、洗い場までを含めた効率と安全性を高めることが可能です。
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2)残菜処理をしながら、同じ器を重ねたり1箇所に寄せたりして集める。
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*2席から3席(1箇所に立って作業しやすい範囲)の器を種類ごとにまとめます。
*ゴミ袋と、残菜を捨てるための小さなバケツ(上部にカゴをセット)を各自持っておきます。
*先に、ゴミだけを集めます。慌てるとスプーンなどの小物がゴミと一緒になり、誤って捨ててしまいかねません。
*残菜を捨てながら、同じ種類を重ねたり寄せたりします。
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(※1)この段階での食器の仕分け及び残菜処理の手間をかけず、混合でコンテナに収める方法を採用している施設は除きます。この場合、コンテナの数が多くなるので、運搬と保管、洗い場の作業量は増えます。各施設の事情に合わせて手順を再検討しましょう。
3.コンテナへの収納
器をコンテナに収納する
*この作業にワゴンや台車を使います。
*食器の仕分けをしない場合は、種類を考えずに収納しますが、それでも欠けやすい器や不安定な器は別にするなどのルールが必要です。
*会場全体の上記2の作業が終わってから、コンテナに集め始めます。
*グラス同様に、食器洗浄機用ラックを使用する食器は別で集めます。
*ひとつのコンテナに入れる器の組み合わせを大まかに決めておきましょう。大きな器は1種類かもしれませんし、ひとつのコンテナが重くなり過ぎないように2−3種類を組み合わせることも良い考えです。小物や小さめの器は数種類を入れます。
*繊細な器や不安定な器はどのように収納するかを決めておきます。
*搬送中に器が欠けないように、異なる種類の器は重ねず、また、箱のふちギリギリまで入れようと思わないことです。
4.拭き上げ
お膳やテーブルの上を拭き上げる
*複数名でする場合は、〈汚れ拭き〉をする人と〈仕上げ拭き〉をする人に分かれます。
*汚れ拭きは、片手にお盆、片手に濡れ布巾を持ちます。食べこぼしやちりをお盆に布巾で拾ってから、お膳やテーブルの汚れを拭きましょう。お肉を焼くなどして油汚れが気になる場合は、水ではなくお湯で拭いたり、重曹水をスプレーするなどすることも検討します.
*仕上げ拭きは、片手にアルコールスプレー、片手に乾いた布巾を持ちます。アルコールを布巾に吹き付けて、お膳やテーブルを拭き上げます。
*仕上げ拭きは、ホコリが立つ掃き掃除の後で行うことが理想です。
5.掃除
畳や床を掃除する
*自動掃除機の併用は作業の効率を高めます。
*自動掃除機を使う場合は、椅子や座椅子座布団の置き方を考えて、できるだけ使える範囲広げましょう。その上で自動掃除機が使える部分と使えない部分を特定し、使えない部分は手作業で掃き掃除をします。
6.リセット
翌朝または次席のための事前準備をする
* 翌日や次席のためのリセットが必要な場合は、自動掃除機以外の作業が済んでから行います。
各館の事情により、すぐにでも見直せることとすぐにはできないことがあると思います。ただ、全てを先送りにすることは現場の負担を見送るようなものです。方針と計画を定め、できることから順に検討して、時間と労力の軽減を図りましょう。
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