旅館経営の知恵
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お届けする経営のヒント-
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旅館のインバウンド対応(第7回)
旅館・ホテルのインバウンド対策
ここまで、来館前の仕掛けや情報発信を取り上げてきました。しかし、最も懸念されるのが、来館後の現場の受入れ体制ではないでしょうか。よく、「外国語ができるスタッフがいない」という声を聞きますが、既に述べた通り、海外旅行をする方々は、「どこでも言葉が通じる」とは思っていません。観光大国と言われるフランスやイタリアでも、地方のホテルではフロントスタッフでも英語が通じないことがあります。「言葉ができない」なら、できないなりのコミュニケーションをとる準備をしておけばよいのです。
4.接客対応は事前準備とツールの活用を
(1)館内インフォメーション
チェックイン時にご案内している館内案内に加え、日本人にとって当たり前のことでも、外国人にとってなじみのないことは、あらかじめ英語での案内を用意しましょう。例えば、「館内は浴衣でよい」、「大浴場の利用方法」、「部屋食の流れ」などです。「大浴場の入り方」は業界団体などで英語の案内が用意されているようですので、そういったものを活用すれば改めて作成する必要がありません。
(2)英語のニュースサイト情報
例えば、大雨の情報など、最新の日本国内の情報は、英語のニュースサイトやアプリで情報を閲覧してもらうことができます。昨今、大雨などの災害が国内でも度々起こっていますが、これらを口頭で伝えるのは困難です。速やかに、国内の情報を伝えられるよう、情報サイトのURLをQRコードにしてインフォメーションに掲載しておく、客室タブレットにニュースアプリを入れておくなどの準備で、日本国内で起こっていることを伝えられるようにしておきましょう。
(3)翻訳アプリ、ツール
数年前より、日本語と様々な言語との間での双方向翻訳機能を備えたアプリやツールが登場し、翻訳の精度が年々上がってきています。外国人観光客自ら自身のスマホにインストールしたアプリでコミュニケーションを取ろうとしている姿も見かけます。接客スタッフがいつでも使えるようにしておくことで、スタッフの精神的なストレスの解消にも繋がるでしょう。ただし、これらは、コミュニケーションを助ける道具の一つです。日本人客の場合と同様、「相手が何に困っているのか、何を伝えようとしているのかを察すること」を忘れないよう心がけることが大切です。
5.最後に
今回は、インバウンド受け入れの第一歩として、受け入れの考え方と準備を取り上げました。ほとんどの外国人観光客の人は、「日本らしさ」を感じたいと思っており、言葉が通じないことや自分たちと文化や習慣が異なることは承知しています。ですから、「日本語でよいので、笑顔で応対する」こと、相手が「知らない、わからない」ことがあることを承知しておくこと、外国人だからと気負うことなく、「自館を選んで下さった方に、よい旅の時間を過ごしていただこう」という気持ちをもって対応することが大切です。その考え方を、現場スタッフ全員で共有し、日本リピーターの増加につなげていきましょう。
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