地域全体のサービスの底上げを目指して
定期的な研修を開催
箱根温泉旅館ホテル協同組合(神奈川県・箱根)
17もの温泉がある箱根エリア。
歴史ある旅館から新規オープンの旅館まで、様々な規模・背景を持つ旅館が集まる。
箱根ブランドの価値を高めるため、旅館組合が続ける取組み。
地域のサポートで、人を育てていかなければという危機感
日本のどこの温泉地にもあるように、
規模の違いや組織・経営体制の違いから、
教育の機会を社内に持てるところがある一方、
教育とは名ばかりの接客作業手順を伝えるだけで精一杯のところ・・・。
さらに、
教育に重きを置いてきたところでさえ、
効率化・人材不足から教える人がいなくなる状況。
果たして、各施設に教育をすべて委ねておいてよいものか。
箱根ブランドを守るため、旅館組合が動き出した。
指導できる人がいない
教えなくても先輩の見よう見まねで学ぶ-かつてはそのような現場主義の指導方法が多く見受けられた。しかし、時代は変化し、様々な問題が露呈。指導する側とされる側の世代間ギャップ。人とのコミュニケーションはメールやSNSが中心で、世代を超えた会話に不慣れである世代に上質なサービスを提供するスキルを教えることは、一筋縄ではいかなくなった。
しかし、指導する方法がわからない・・・。それは、各施設が抱える悩みとなっていった。
指導者向け研修から様々な立場の方が参加できる研修へと発展
平成15年に第1回「接客責任者育成講習会」を開催。以来、年2回のペースで実務を交えた研修の開催を続けている。当初は指導者育成を目的に開催していたが、指導者となり得る人材自体が不足している小規模施設にも研修を活用してもらえるよう、新入社員でも受けられるプログラムに変更。指導者は指導の方法を学び、新人は考え方やスキルそのものを学ぶという内容で開催を続けている。
同じ悩みを持つ地域の仲間とともにスキルアップ
研修では、必ず4~5名での「グループワーク」を実施。自分自身の体験を伝え共有することで、今一度そのことを振り返り、糧となる経験へと昇華する場になっている。また、同じ地域で同じ悩みを抱える仲間との出会いは大きな励みとなり、仕事へのモチベーションの維持・向上にも繋がっている。
研修は、ロールプレイングを交えながらも、場面ごとの技術の伝達に終わらないよう、「なぜそのようにするのか」という考え方を学べるように工夫し、さまざまな場面で応用がきくように努めている。
様々な施設のスタッフが集まっているからこそ、「やり方」ではなく「考え方」「お客様との向き合い方」を重視し、実務研修で陥りがちなマニュアルを覚えるといったことがないようにしている。
ある日の研修プログラム
研修プログラムは現場のニーズを汲み取りながら、毎回リョケンの講師担当と相談し決定。
以下は、ある年の実際の研修の1日プログラム。
■サービス向上セミナー
「プロのコツを身につけよう~知っておきたい接客の基礎とすぐに役立つ適切なことば遣い」
◆開講あいさつ 「サービス向上セミナー」開催にあたって(10分)
◆オリエンテーション(5分)
今回の講習会のポイント・研修の取り組み方
◆【 第1講 】好感度を高める接客の基礎(95分)
1. 接客サービスの心得
2. 接客の基本マナーと動作
3. 応対練習
◆【 第2講 】満足度を高める会話のポイント(110分)
1. 会話の心得と基礎
2. 適切なことば遣い
3. コミュニケーション能力向上トレーニング
◆【まとめ】(20分)
箱根温泉旅館ホテル協同組合
- 住 所
- 神奈川県足柄下郡箱根町湯本211-1