老舗旅館「銀水荘」の深化
~新たなおもてなしスタイルの確立~
稲取銀水荘(静岡県・伊豆稲取温泉)
1957年に開業し、60年以上の歴史を持つ老舗旅館「稲取銀水荘」。
長い歴史の中で培ったおもてなしをより深く、より新しく『深化』させるため
約9億円の大規模設備投資を実施。4棟にまたがる6階フロアを全面リニューアルした。
新たに7室の客室露天風呂付スイートルームと、ラウンジ「濤の音」、ダイニング「銀の海」を新設し、
先行不透明な将来への一歩を踏み出す。
付加価値の向上と業務効率アップを図った6階フロアの大規模投資
今回のリニューアルのコンセプトは『深化』!!
全100室513人収容の「稲取銀水荘」様はこれまで全室部屋出しで食事提供にこだわってきた。
今回の設備投資では、銀水荘の新たなおもてなしスタイルを確立し、お客様満足度の向上と、銀水荘が抱えていた様々な課題解決を図った。
銀水荘だけでなく業界全体が抱える課題解決へ踏み出す第一歩である。
次の時代へ向けた新施設を整備
今回リニューアルした6階フロアでは、お呈茶やお食事のお部屋出しといったこれまでのおもてなしスタイルを変え、お客様のプライベート空間を大切にすることを重視し、3つの施設を整備した。
- お客様に合わせてご案内が可能な趣の異なる4タイプの客席で構成されたダイニングを新設し、食事の大部分を提供。システムの構築や動線設計など、生産性向上の工夫を施した。
- 稲取の海の絶景を堪能できる新ラウンジで、日中のお呈茶を集約。ドリンクメニューには抹茶もあり、茶釜も用意するなど、雰囲気の演出にもこだわっている。
- 全22室あった6階客室を7室に減らし改装。全3タイプの露天風呂付客室はスタッフが入室しないプライベート空間の高付加価値商品。
プライベートなひと時を提供する「おもてなしスイート」
新客室7室(全3タイプ)はお客様に自由にすごしていただくことをコンセプトに、スタッフが入室しないおもてなしを前提とした。
日本旅館の和のくつろぎの中に、モダンテイストを加えた和洋室で従来の標準的な和室と、手厚いおもてなしを前提とした「銀の栞」とは異なるコンセプトである。
全室に完備する露天風呂はすべて源泉かけ流しで、24時間、思い思いのタイミングで温泉を満喫できる。
ベッドは全室シモンズ社製を採用するほか、アメニティにもこだわる等、細部にわたるこだわりで人的サービスを減らしながらも高い付加価値を生み出す。
新たなおもてなしの玄関「濤の音」
6階にラウンジを新設した。あえて6階に新設したのは「おもてなしスイート」との連携を図るとともに、稲取の海の絶景を堪能できるスペースにするためである。窓にはフルオープンサッシを採用し、天気の良い日は全開放し、個人客向けのお呈茶を提供するスペースとして活用している。夜はダイニングへの動線も兼ねており、待合スペースとして絶景を楽しめる汎用性の高い施設である。
新ダイニング「銀の海」
新ダイニングの総面積は1,240㎡で、客席フロアだけでも850㎡の広さを誇っている。
総卓数は60卓で「メインフロア」の他、海の絶景を楽しめる窓際の客席「オーシャンビューテーブル」、グループ客でのご案内が可能な「半個室席」と少し離れた「ダイニングラウンジ」という趣の異なる4つのデザインで構成され、お客様の人数や構成によって最適の席へご案内する。エントランスには稲取名物の「ひなのつるし飾り」をイメージした行灯を吊るし、天井高のスケール感をアピールする工夫をしている。
運営面の工夫も盛りだくさんだ。朝食のビュッフェ盛り付けエリアは、夜は最新の配膳システムを備えたパントリーとして活用できる。
このパントリーの背後にはサテライト厨房が控え、最終加工した料理をデシャップゾーンへ直接渡せるように考えられています。さらに下膳動線を確保し、サービス動線と交差しないよう工夫している。
稲取銀水荘
- 住 所
- 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取1624-1
- 客室数
- 100室(最大収容人員513名)
- 改装オープン
- 2018年1月11日
- 総投資額
- 約9億円