株式会社リョケン

みなかみホテルジュラク

団体客向けに一世を風靡した大型ホテルの雄、聚楽グループが創造する「これからの個客向けホテル」

みなかみホテルジュラク(群馬県・みなかみ温泉)

団体客から個人客へと経営方針の大転換を具現化するべく着々と進む聚楽グループのリニューアル計画。その皮切りとなった、みなかみホテルジュラクのリニューアルプロジェクトのカギは果たしてどこにあるのか。

みなかみホテルジュラクの「リブランディング&リボーン」プロジェクト

聚楽グループと言えば、70年代から80年代にそのユニークなCMが全国的に知られ、大型ホテルの雄となったホテルグループ。
時代が移り、旅のトレンドが団体旅行から個人旅行へと移っていく中、聚楽グループの新たなチャレンジが始まった。

設備投資計画の前に実施した、徹底して自館を分析する「課題認識」を礎に

みなかみホテルジュラクでは、リブランディング&リボーン計画の最初のステップとして、まずは客観的な現実をシビアに見すえるための「課題認識」を実施した。
従業員一人ひとりから現状の課題や忌憚のない意見を聞き出し、この課題について従業員と経営陣が積極的な意見交換を繰り返す事で、みなかみホテルジュラクが改善すべき課題がどこにあるのかを探り出したのだ。
徹底した現状の課題抽出。それは自館ならではのアイデンティティを深く掘り下げること。建築に例えれば、リニューアルの基礎をしっかりと固める重要なステップ。
長期にわたってこの作業を重ね、経営陣と従業員の意見をまとめた結果、みなかみホテルジュラクの現状の課題として浮かび上がったのは大きく次の2点だった。

みなかみジュラク/みずのね
  1. もっと儲かるための構造づくり。
    これまで団体客中心に運営されてきた施設やシステム、業務のあり方などを、そのまま個人客対象にマッチングさせるとなるとどうしても無理が出てしまう。
    今後、個人客を優先してホテル運営をしていくためには、設備・サービス・スタッフィングなど、新たなしくみや枠組みを創っていくことが必要。これが実現できれば、今まで以上に客単価を高め、利益を生む経営基盤が確立されるはず。
  2. ムリ・ムダからの脱却で業務効率をアップし、労務負担も軽減。
    団体客を想定していた現在の施設のデメリットが日々拡大している。一例としてスタッフの動線の長さや、食事提供時のムダが大きいなどが挙げられる。個人客を主要ターゲットにした場合、この点の改善が必須。
みなかみジュラク/こもれび

全体の戦略方向を定める上で、経営陣・スタッフがこうした課題認識を共有した上で、初めて今後のマーケット・ターゲット戦略立案へとプロジェクトは移行した。
みなかみホテルジュラクが立ち上げた、マーケット戦略の4つの狙いは次の通り。

1)ローカルマーケットから、首都圏広域マーケットへの拡大
2)個人・グループ・ファミリー(3世代)、アクティブシニアの取込み
3)上級個客の囲い込み
4)インバウンド需要の取込み
これらのマーケット戦略を可能にするための設備・陣容を整え、さらには目前に迫った2024年の創業100周年に向けて「みなかみホテルジュラクの新たなアイデンティティを創りあげること」。それが今回の「リブランディング&リボーン計画」の骨子。

そしてそれは同時に、令和の時代を迎えて、旅館ホテルとしてどのようなビジョンを指し示すことができるのか、という試金石でもあるのだ。

みなかみジュラク/KAWATONE

リブランディング&リボーンのテーマは「水~First Drop~利根川の最初の一滴」

みなかみホテルジュラクでは、新たなターゲットに選定した首都圏のお客様に、利根川上流部に位置することの優位性をダイレクトに伝えるため、自館に「水」というテーマ性を持たせた。
特に女性客に対して「ここでしか得られない質高い満足と潤いのある時間」を満喫していただける施設の創造に注力したと言っていいでだろう。

みなかみホテルジュラクロゴ

●ロゴの変更
みなかみホテルジュラクでは、今回のリブランディング&リボーンに伴って、自館の新たなアイデンティティをコミュニケートするために、従来のロゴを一新した。
新ロゴはひらがなとカタカナ、英文字を組合せ、国内外の老若男女のどなたにも認知できるよう判読性を高めている。また同時に色も柔和なグレーへと変更。誰にでも優しく、肩ひじを張らずにゆっくりとくつろいでいただけるホテルをめざすという意欲を表現したものとなっている。

●商品力向上の3つの柱を制定
・お客様に「より高度な安全と安心をご提供」するため、建物の耐震補強を行うこと。
・ライブキッチンの演出による「より斬新なお食事提供」によって若い女性・お子さまにも喜ばれる時間を創出する。
・「和モダン」をテーマとし、お客様のニーズに合わせてチョイスできるバリーション豊かな新客室を創造する。

お食事により高い付加価値を生みだす、 見て楽しい・食べて楽しいブッフェダイニング「KAWATONE」の誕生

旅館ホテル業と並ぶもうひとつの主要事業としてこれまでに数々のレストランを運営してきた聚楽グループ。
観光ホテルとしても古くからバイキングで名を馳せた聚楽グループが、その豊富なノウハウを注ぎ込んだのが「今までにない新感覚のブッフェ」だ。
ブッフェダイニング「KAWATONE」では、奥利根の地域性や季節感を意識した豊富な食材を厳選し、料理人の作り出来たてをその場でサーブする実演によって、お客様に驚きと感動を提供し、「味」を含めた五感での満足をご提供できる「ライブ感のあるオープンキッチン」という新提案を実現した。
対面式のグリルキッチンでは、お客様と料理人が会話を交わしながら食事を楽しめるひとときを創造。お食事をエンターテイメント化することにより、お食事の空間が、これまで以上に笑顔とコミュニケーションのあふれるものへと生まれ変わった。

みなかみホテルジュラク/KAWATONE

お着きになったお客様を、驚きと温もりで迎える「こもれび」と「暖炉ラウンジ」

ホテルを訪れたお客様を驚きとともにお出迎えするのが新設のエントランス空間「こもれび」と「暖炉ラウンジ」。馥郁たる木の香りが漂い、薪の燃える音が静かに響く暖かく落ち着きある空間が「人」への確かなおもてなしの心を伝えるとともに、癒しの時間への期待感を高めている。
お着きになられたお客様は旅の疲れをフリードリンクで癒しながら、水上の自然を望む開放的な空間で。到着後のひとときをゆったりと寛いでいただける。

みなかみホテルジュラク/暖炉ラウンジ

利根川の「水」を感じる、オープンエアの屋上庭園「水のテラス」

ブッフェダイニング「KAWATONE」から続くオープンエアの屋上庭園として「水のテラス」を新設。水上の四季のうつろいと、利根川のせせらぎを肌感覚で楽しめる空間が誕生した。

みなかみホテルジュラク/水のテラス

好評の自家製パンをホテル名物に!「じゅらく食パン工房」「おみやげマルシェ」

「予約しないと買えない」と従来から好評を博していた焼きたての食パンをさらにグレードアップさせた「じゅらく食パン工房」。奥利根のおいしい水と群馬県産牛乳、それに新鮮なたまごと厳選した小麦粉の使用にこだわった、ふわふわ焼きたての自家製パンをホテルの目玉商品へとランクアップさせ、女性やシニア、お子さまの満足度を飛躍的に向上させた。
また「おみやげマルシェ」では、空間構成から品揃えまでをこれまでの団体客向けから個人客向けに一新。オリジナルアイテムの開発をも含め、ホテル内でマルシェの楽しさを満喫できる空間を実現している。

じゅらく食パン工房

新たな個客の心を満たす、新たな客室の誕生

「和モダン」をテーマに、全客室107室のうち36室をリニューアル。全室禁煙の新客室は女性客に満足いただけるプライベート空間の確立をテーマとし、全8タイプのバリエーション豊かなラインナップをご用意。
利根川の清流を見下ろすリバービューのお部屋や、谷川岳の雄姿を望めるマウンテンビューのお部屋など、お客様のニーズに合わせて、くつろぎのタイプをチョイスできる自由度の高さを表現している。

みなかみホテルジュラク/みずのね みなかみホテルジュラク/みずのね

「My First Rsort~私のいちばん好きなホテル~」をめざす、聚楽グループのこれから

団体客から個人客へ。聚楽グループでは次時代のホテルグループへと新生すべく、第一弾となるこのみなかみホテルジュラクに続き、2020年3月に、飯坂ホテル聚楽の大規模リニューアルの施工が進行中。さらには万座ホテル聚楽などのリニューアルも計画されるなど、段階的に他ホテルのリボーン計画が進んでいる。
大正13年(1924年)に誕生し、つねに時代と観光のあり方を作り続けてきた聚楽グループ。この一大ホテルグループが、100年の時を迎えたとき、果たしてどんなテーゼを私たちに魅せてくれるのだろうか。

みなかみホテルジュラク
みなかみホテルジュラク
住 所
群馬県利根郡みなかみ町湯原665
客室数
107室
グランドオープン
2018年10月4日
総投資額
約14.5億円(耐震補強工事費含む)