株式会社リョケン

事例研究セミナー[9月/会場:金太郎温泉様]開催報告

事例研究セミナー【9月開催/会場:金太郎温泉様】開催報告

9月5日(火)~6日(水)に「今こそ変わる時!取組事例から現状を打破する方法を見つけ出す」のテーマのもと、富山県魚津市「金太郎温泉」様を会場に、本年2回目となる事例研究セミナーを開催しました。おかげさまで、旅館・ホテル経営者・幹部の皆様をはじめ、全国各地からおよそ50名の業界関係者のご参加をいただきました。

内容

会場施設 事例紹介

金太郎温泉「リ・ボーンプロジェクト」

[講演] 金太郎温泉 代表取締役社長 木下 荘司様/リョケン 常務取締役 浜荻 仁志

団体客が減少し、売上低下に歯止めがかからない中、営業収益内の少額投資でいかに個人客対応を図っていくか。金太郎温泉様では、経営革新計画を2009年に策定し、段階的な設備投資による個人客対応を行ってきました。今回、コロナ禍以降のさらなる個人客化を見据え、経営革新計画の延長上に「リ・ボーンプロジェクト」を掲げ、昨年6月にリニューアルオープンいたしました。

講演の前半では、リョケン常務取締役 浜荻 仁志より、経営革新計画の深掘り解説を行いました。後半は、金太郎温泉 木下社長様より、「リ・ボーンプロジェクト」をはじめとする、金太郎温泉が行ってきたチャレンジの数々を、自身の経験も交えながら解説いただきました。
以下、金太郎温泉様の経営革新計画を時系列で概説します。

金太郎温泉_木下社長様

経営革新計画の第1ステップでは、客室1フロアを個人客向けラグジュアリーフロア「別邸 峰の界」へと改装し、2010年オープン。併せて峰の界専用の食事会場「Private Dining 雲井」を整備するなど、個人客向け商品の造成を図りました。
次に第2ステップでは、陳腐化していた朝食会場を改装し、コンベンションホール「ガイア」として2013年オープン。朝食グレードの底上げを図りつつ、会議等多目的に対応できる設計としました。また、和室の小宴会場を椅子テーブルの個室会食場「茶寮 Ai」「茶寮 Beni」へと改装し、料理の一品出しによる高質化を図りました。

2015年の第3ステップでは、大宴会場「瑞兆」を椅子・テーブルのダイニングに、既存客室を個室宴会場「雪」「月」「花」に改装するなど、個人客対応の拡充を図ると同時に、部屋出しの廃止による従業員負担の軽減も実現しています。

峰の界_金太郎温泉 コンベンションホール「ガイア」_金太郎温泉 大宴会場「瑞兆」_金太郎温泉

第1~3ステップにより個人客の比率が高まった為、第4ステップではさらなる個人客対応を図るべく、「別邸 峰の界」を1フロア拡張しました。また、既存客室を和室ベッド化し、団体部屋としての機能を残した個人客対応を図りました。そして、特別な日の食事などでもお使いいただけるよう、ワインと和食を楽しめるダイニング「Concept Dining 菜波」を2019年に新設しました。

順調に経営革新を進めてきた金太郎温泉にも、コロナ禍が襲います。
しかし、大幅な客数減を逆手に取り、人通りが多く改装できずにいた1Fのパブリックスペース改装を決断。コロナ禍以降のさらなる個人客化を見据え、「リ・ボーンプロジェクト」と題した改装を実施しました。そして2022年6月、売店「Gift shop 北前船」とラウンジ「Stay Lounge MOKU」をオープンさせます。「北前船」では、スタッフ自ら買付けた富山の逸品を揃えており、従来の旅館売店とは一線を画す品揃えとなっています。「MOKU」では、フリーサービスの飲み物を用意するとともに、Wi-Fi環境を整え、リモートワークでの利用も可能な場としました。
また、2019年にオープンしたダイニング「菜波」は、コロナ禍の個室需要も相まって、地元の方々の接待や会食の場としても人気を博しました。さらなる対応を図るべく、地酒と地物を楽しめるダイニング「The Dinner 蔵」を2022年に新設しました。

コンセプトダイニング「菜波」_金太郎温泉 ギフトショップ「北前船」_金太郎温泉 ステイラウンジ「MOKU」_金太郎温泉

2023年以降も、さらなる改装を実施予定です。今後も絶え間ない経営革新により、金太郎温泉は日々進化していきます。

施設見学

今回のセミナーでは館内見学の時間も設け、金太郎温泉スタッフの皆様に、経営革新計画により整備された各施設の解説、魅力のご紹介をいただきました。
事例紹介で取り上げた施設はすべて見学し、講演と見学の両面から、金太郎温泉様の商品整備をご体感いただける機会となりました。

リョケン:基調講演/事例講演

セミナー1日目には、リョケン代表取締役社長 佐野洋一による基調講演を行い、2日目には3つの取り組み事例をリョケン研究員からリレー形式で解説しました。

【リョケン基調講演】 令和5年 旅館の経営指針「ゼロベース発想」に立つ商品づくり

リョケンが1975年(昭和50年)から発行している書籍「旅館の経営指針」は、リョケン社員全員で旅館・ホテルの経営に、経営者の皆様とともに向き合い、毎年書き上げています。
「旅館の経営指針」では、これまで表現を変えながらも、一貫して変革の必要性を訴えてきました。それは、変革こそが経営持続のために必要な活動だからです。しかし、この2年半はあまりにも特別で、もはやこれまでと同じ意識で「変革に取り組もう」と言うだけでは追い付かない状況にあります。そこで、抜本的な立て直しの糸口をつかんでいただくため、本年のテーマを「ゼロベース発想~今できることを探せ!」といたしました。

今セミナーの基調講演では、「ゼロベース発想」とそれに基づく商品整備についてお話しました。本年、リョケンが「旅館の経営指針」として掲げる考え方をベースに、これから行っていくべき商品戦略の方向性を提言しました。

「旅館の経営指針」の詳細につきましては、こちらからご覧いただけます。

講演_ゼロベース発想

【事例講演(1)】嵐渓荘 様/新潟県燕三条エリアで「仕事創りの宿」を新展開

新潟県三条市・越後長野温泉「嵐渓荘」は、ものづくりの町で知られる燕三条から車で約30分のところに位置する、渓流沿いの一軒宿です。
今回、三条市に一軒しかない温泉旅館という立地特性を活かし、ビジネス向け商品を再構築しました。
既存の客室では、躯体を残しつつ、テラス・ワークデスク・ベッドを設け、滞在快適性を高める改修を施しました。 また、宴会場をワークルーム兼食事処とし、中庭に面した開放的な個室としました。Wi-Fi環境も全館に整備し、館内どこでもワーケーション・ミーティングを可能としました。リラックスした環境で、様々な「仕事創り」に対応できる宿として、新規顧客の獲得、収益の付加を目指しています。

嵐渓荘様の商品整備につきましては、リョケンニュースリリースでもご覧いただけます。

嵐渓荘様

【事例講演(2)】萩姫の湯 栄楽館 様/ 個人客化によるニーズの多様化への対応

株式会社栄楽館グループ( 全4施設) が運営する「萩姫の湯 栄楽館」は、福島県磐梯熱海駅から徒歩3分の駅前温泉旅館です。長年、「来やすさ、楽しさ、親しみやすさ」をコンセプトに事業を展開してきました。今回3タイプの「新・和モダン客室」を新設することで、新たに「居心地の良さ」を魅力として加えました。全体の客室数は54 室のままで定員は224 名から174 名に減少しましたが、2名専用の部屋として割り切ることで客室内の機能を充実させました。今回の改装に合わせてパブリックサービスやアメニティ等ソフトサービスの見直しも図り、コロナの影響で加速した個人客化のニーズの多様化に対応していく商品を整備しました。

萩姫の湯 栄楽館様の商品整備につきましては、リョケンニュースリリースでもご覧いただけます。

栄楽館様

【事例講演(3)】自館にあわせて進化させる「料理」商品アプローチ

旅行で宿に泊まる目的の中でも、「地元の美味しいものを食べたい」といった、料理への期待は高いものがあります。個人客化も進み、従来の宴会料理スタイルからの変更が求められています。一方で、慢性的な人手不足により十分なサービスを提供できず、運営面やお客様評価の面で課題を抱えている施設が数多くあります。

多くの労力と時間を投入する「料理」商品の課題をいかに解決し、将来に向けて進化させていくか。いかに自館の思いをお客様へ訴求する「料理」商品をつくっていくか。料理を進化させるための改革手法を、旅館の実例から多数ご紹介しました。

事例講演料理改革イメージ

実際に旅館様が取り組まれた実践事例の数々をご紹介する事例解説の機会として、2回に渡って開催しました。具体策をつかんでいただく機会として、今後も展開してまいります。

会場施設

金太郎温泉

◆客室数:90室
◆浴場:露天風呂、大浴場、内湯、サウナ、貸切風呂、日帰り温泉「カルナの館」
◆その他施設:和ダイニング、コンセプトダイニング、お食事会場、コンベンションホール、茶寮、味処、売店等

〒937-0013 富山県魚津市天神野新6000
TEL 0765-24-1220

次回開催のご案内

池の平ホテルにて「旅館大学セミナー」12月開催

2023年12月12日(火)~13日(水)、長野県白樺湖「池の平ホテル」様を会場に、「旅館大学セミナー」を4年ぶりにリアル開催いたします!
2023年グランドオープンの新本館を体験いただくチャンスです。

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