第95回 短観アンケート「2024-2025年 冬の実績・春の見込み」
リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第95回アンケート (2月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
ご多忙な中でご協力いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。
<調査期間:2025年2月1日~2025年2月15日、FAX回答数:31軒、回答率:4.1%、eメール回答数:50軒、回答率:8.7%>
冬の実績 - 単価向上は進むも、国内客の動きが鈍化
冬(12月~2月)の実績についての回答をまとめました。
今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、「上昇傾向」が約7割となり、前年および前回調査での見込みを上回りました。
仕入原価や燃料費の高騰による価格改定も要因として考えられます。インバウンドの増加により価格上昇後も順調な集客が続いている施設もある一方で、個人客の動きが鈍化しているとのコメントも見受けられました。

●客数傾向
今冬は、年末年始の並びが良く客数が伸びたとのコメントを複数いただきました。春節の季節でもあり、客数においてもインバウンドの影響は大きく、利用客数は安定している施設も多いようです。
特に北海道・東北地方と四国・九州地方では「上昇傾向」との回答が6割を超える結果となりました。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)は、規模に問わらず「上昇傾向」との回答が約半数ありました。そのなかでも大規模施設では「増加傾向」と「横ばい傾向」を合わせると約9割となっています。

春の見込み - 大阪・関西万博の影響は不透明
春(3月~5月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価ともに「上昇傾向」が5割を超え、「下降傾向」との回答は昨年に引き続きわずかでした。
レベニューマネジメントやOTAへのテコ入れ、などのコメントがあり、単価向上の対策を行う施設が多いようです。

●客数傾向
客数傾向は、当館・地域のいずれも「横ばい傾向」との回答が約半数となっています。
本年は昨年と比べ、北陸応援割などの需要喚起策がないため、客数の減少が見込まれているというコメントがあったものの、前年春の客数傾向の見込みと比べ「増加傾向」とも回答は29.8%から36.3%へ上がり、6.5ポイント上昇しています。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、大規模施設では「増加傾向」が昨年は42.9%の見込みだったことと比べ、本年は22.2%にとどまり、「横ばい傾向」が61.1%と落ち着きが見られています。
一方、中・小規模では昨年の3割以下と比べ、4割が「増加傾向」という結果となったものの、中規模では「減少傾向」も増加しており、二分化が見られています。

●コメントから見える全体的な傾向
本年2月までは、基本宿泊単価においては「増加傾向」「横ばい傾向」が多くを占め、順調な様子が見受けられました。
2月以降は桜の開花時期の遅れや関西万博の影響などで、地域差が大きく出る傾向にあるようです。特にインバウンドが好調な施設では「インバウンドの中でも連泊が好調」とのコメントもいただきました。関西万博開催をひかえ、多くの施設が期待を持っているものの、影響が未知数だとのコメントもいただきました。
昨年に引き続き、燃料費や材料費の高騰の影響も大きく、燃料費は高い地域でガソリン代1リットル190円を超える場所もあるようです。
その中でも、多くの施設がSEO対策やレベニューマネジメント、インバウンド需要に対する対策などで単価の向上や客数の獲得などを意識していることがうかがえました。
施設からのコメント(抜粋)
今回も多くのコメントをいただきました。地震の影響を憂慮する声や、物価高騰・人手不足対策に関するコメントなどが多くありました。
【いただいたコメント(抜粋)】
●インバウンド・国内旅行ツアーはホワイトツーリズムの影響で若干昨年よりは多いかと思うが、個人客の動きが鈍いと感じられる。(北海道・中規模)
●宿泊単価及び総消費単価は若干ですが上昇傾向にありますが、客数は減少傾向。調理人の人員欠員により、予約受注を制限しているのが大きな要因と考える。(栃木県・中規模)
●年末年始やは並びも良く好調に推移しました。当館の客単価は1000円位しか上がっていませんが、他はもっと上がっているようです。食材、光熱費が上がっていて、単価の上昇傾向は続きそうです。(栃木県・中規模)
●インバンド集客を施すも競合多く伸び悩む。(神奈川県・中規模)
●前年に12室の改装工事を実施し、8月にリニューアルオープンできた。冬・春も順調に集客できており、これが単価アップに寄与している。(山梨県・大規模)
●露天風呂改修によりお客様が増加しています。地域の日帰り宴会が復活してきています。(長野県・中規模)
●既存の団体リピーター様が2019年以前のように戻り始めているため稼働数も客数もアップしています。(静岡県・中規模)
●春からも単価アップを行うと共に、一部客室の寝具など備品の刷新をする。また、料理においても、さらに質の高い素材で仕立てた内容で提供を始める。(静岡県・中規模)
●今冬、料理内容の見直しをし比較的低価格のプランを販売したため前年度より客数が増加したとみられる。(静岡県・小規模)
●4月開幕の関西万博の影響で、関西方面からのバス利用の団体が減りそう。バス需要がひっ迫している様子。(三重県・小規模)
●現段階では客数は少ないが間際化しているので最終的には前年を上回ると予想している。(滋賀県・中規模)
●地域全体で助成を活用しリニューアルしたところが多く、又、仕入れ価格が毎週のように上昇している現状から基本料金が軒並み上昇。特に城崎はインバウンドに力を入れ高額でも利用客が安定。仕入れの高騰などもふまえ、料金の底上げを行った。(兵庫県・中規模)
販売促進や人手不足対策を始めとする、様々な難しい課題に取り組まれている折、本調査にご協力いただきました皆様には、心からの御礼を申し上げます。
弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。