株式会社リョケン

第93回 短観アンケート「2024年 夏休みの実績 秋の見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。
このほど、第93回アンケート (8月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。

夏休みの実績 - 単価上昇傾向続くも、集客状況は落ち着きも

夏休み(7月下旬~8月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに「上昇傾向」との回答が6割を超え、前回春の調査時の見込みを上回りました。「下降傾向」との回答は1割未満でした。地域別では、東海地方の「上昇傾向」が8割を超える結果となっています。関東・北陸・中国地方は「横ばい傾向」がいずれも6割を超えています。

●客数傾向
 客数傾向(当館)では、いずれの傾向も過半数を超えず、「上昇傾向」との回答は前年の実績から大きく下回る結果となりました。地震や台風の影響が大きいというコメントも目立ちました。

 

●規模別客数傾向

 規模別の客数傾向(当館)では、「増加傾向」との回答は大規模施設で43.5%、中規模施設で34.9%に対して、小規模施設では0.0%となっており、インバウンドや団体の戻りは、規模の大きい施設に、より表れているようです。

 

 

●コメントから見える全体的な傾向
 個人客の伸び悩みが顕著に表れているコメントが目立ちました。一方で客数をおさえ、単価上昇への動きは引き続き、多く見られています。
 繁忙期による人手不足のコメントもあるなか、酷暑や地震の影響で国内客の鈍化がみられるという施設も多くありました。
 リニューアル工事や新設工事などにより、前年と比べ好調傾向にあるという施設も引き続き見られています。

秋の見込み -団体需要が回復傾向に

秋(9月~11月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価ともに「上昇傾向」の見込みが過半数を占めるという回答結果でした。地域別では、特に北海道や東北、東海地方で7割を超え、単価上昇の動きが顕著のようです。

 

●客数傾向
 客数傾向(当館)では、「横ばい傾向」との回答が最も多くなりました。個人客強化への対策を行っていくとのコメントも多くいただきました。回復基調も落ち着きが見られ、予約の間際化とともに、不透明感が強まっているようです。一方で小グループ客の増加が見込まれるとのコメントもいただいています。

 

●規模別客数傾向
 規模別の客数傾向(当館)では、中規模の施設が「増加傾向」と回答する比率が36.4%とやや高いのに対し、大規模では30.4%、小規模では20.8%と慎重な見込状況となっています。

 

●コメントから見える全体的な傾向
 地震と酷暑の影響でキャンセルが相次いだというコメントが多く見受けられました。一方で夏期らしい忙しさが続いているとのコメントもあり、二極化しているようです。
 「付帯収益がある団体の獲得を強化する」「SNSインフルエンサーの起用」「宿独自のイベントの実施」などで、秋以降の対策を取るというコメントがありました。

今回も多くのコメントをいただきました。

 

【いただいたコメント】

●夏休みは昨年大変賑わったが、今年は動きが鈍い。また秋9月の客数が昨年より伸び率が悪い。団体客の減少が見込まれるので個人客への案内を強化する(山形県・中規模)
●物価高による旅行資金の確保が難しい方が多くいらっしゃるため、弱気の予想になっている。(栃木県・小規模)
●宿泊基本料金ボトムを上げつつ、付帯収益がある団体の獲得を強化する。(群馬県・大規模)
●円安の影響もあり海外のゲストの増加がみられるが、連泊者は減少傾向。秋の見込みは、紅葉の見ごろを迎える10月中旬から11月上旬に関しては観光客も増加するが、その前後が落ち込み気味。(山梨県・大規模)
●南海トラフ地震の注意喚起の影響でキャンセルが増加しています。(静岡県・中規模)
●対策としてOTAの期間限定の割引プランの販売。SNSインフルエンサーの起用など。原因背景として宿泊単価の値上げ、部屋食の減少、北陸割にユーザーが集中しているから。(三重県・中規模)
●秋の見込みについては小グループ客が増加(福島県・中規模)

 団体需要の復活傾向とのコメントが増えているように見受けられます。前年と比べ、国内の旅行需要の落ち着きが見られている一方で、引き続きインバウンド需要は高いようです。本調査にご協力いただきました皆様には、心からの御礼を申し上げます。

弊社では、ひき続き皆様に有益な情報をお届けできるよう活動してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。