株式会社リョケン

第79回 短観アンケート「2020年 冬の実績 2021年 春の見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第 79 回アンケート (2月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。

ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心からの御礼とお見舞いを申し上げます。

冬の実績 - 前回見込みより大幅に悪化

冬(12月~2月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、前回調査時の見込みに対して、大幅に悪化し、「上昇傾向」は2割以下と、前回見込みより約40ポイント減少し、半数が「下降傾向」と回答しています。
年末前までは、Go Toキャンペーンにより単価は維持または上昇の傾向でしたが、大都市圏の緊急事態宣言発出とGo To停止により、年末年始の需要が大きく減退しました。

 

●客数傾向
客数傾向はさらに顕著にGo To停止の影響を受け、前回見込に対して大きく悪化し、94.8%とほとんどが「減少傾向」との回答となりました。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、これまで小規模旅館ほどコロナの影響が少ない回答傾向にありましたが、今回は規模に関わらずすべての施設で「減少傾向」との回答が大半を占めました。

 

●コメントから見える全体的な傾向
多くの施設でGo To停止により年末年始の予約キャンセルが発生したとのコメントをいただきました。また年始以降も回復の見通しは立たず、引き続き休館を継続するという施設様の声も複数ありました。

79th短観アンケート_冬の実績

春の見込み - コロナ収束が見えず引き続き悪化傾向

春(3月~5月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも「上昇傾向」または「横ばい傾向」と回答した施設は半数以上となりました。客数の復活が不透明な中で、単価の維持、上昇によって収益を確保しようとする傾向が見受けられました。

 

●客数傾向
客数傾向(当館)については「減少傾向」が80%を超える回答となりました。コロナ第3波の収束が見えず、回復には時間がかかると見通している施設が多いと想定されます。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、規模が小さいほど「減少傾向」と回答する比率は低くなっています。
しかしながら、規模別での大きな差異は見受けられず、客数の回復には慎重な施設が多く見られます。

 

●コメントから見える全体的な傾向
多くの施設で先の動向が読めないとのコメントをいただきました。
また、3月以降も休館を継続する施設様の声もあり、営業面では非常に厳しい見通しとなりました。

79th短観アンケート_春の見込み

施設からのコメント(抜粋)

今回も多くのコメントのうちの一部を紹介させていただきます。

【いただいたコメント】

●Go To停止による影響が大きい。2月はほぼ休館予定。(宮城県)
●コロナの影響を含め、1~2月は新規が無く、ほぼキャンセル。それに伴い1/6~2月末(予定)まで休館。(宮城県)
●緊急事態宣言後、Go To停止、県民割の停止により、キャンセルが相次ぎ、2月は休館が10日以上(福島県)
●長期休館などはしないで週三日程度の休館にしている。雇用調整助成金の利用や出費の切りつめを行っている。(栃木県)
●Go To停止によるキャンセルの影響で、宿泊施設のみならず、コンビニやお土産店などからも、人の流れがないために苦戦しているという声を多く聞く。(千葉県)
●何年間か、冬期についてはインバウンドによって潤っていたが、それがなくなった事による影響が大きい。春以降については、見通しが立たない状況。(長野県)
●コロナ禍の中大変厳しい状況が続いている。いつ回復するか全く見当がつかない。(静岡県)
●コロナにより、企業の新人研修が中止に、学校の宿泊研修も今後中止になっていくと思われる。(滋賀県)
●3月の学生の卒業旅行が今のところ唯一の希望だが、今はそれすら少ない。(兵庫県)
●修学旅行もキャンセル。地元の忘新年会も自粛である。テイクアウトの実施をしているが、根本的な対策ではない。(鳥取県)
●大分県は緊急事態宣言に含まれていないが、今後さらに厳しい状況になっていく中、集客出来るか不安。(大分県)

年末の大都市圏における緊急事態宣言の再発出およびGo To停止により、営業面では再び壊滅的な状況に陥りました。今回は年末年始という特定の期間に止まらず、春以降も読めないとの声も多くあり、業界全体で深刻度が増している状況となりました。
このような状況ですが、ひき続き皆様に有益な情報をお届けできるよう活動してまいります。

 

弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。