第78回 短観アンケート「2020年 秋の実績 忘新年会の状況 冬の見込み」
リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第 78 回アンケート (11月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心からの御礼とお見舞いを申し上げます。
秋の実績 - Go Toキャンペーンの効果もあり、改善傾向に
秋(9月~11月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、前回調査時の見込みに対して、「上昇傾向」が75%を超え大半の施設で改善傾向が見られました。
Go Toキャンペーンにより、単価については維持ないし上昇の傾向となりました。また地域共通クーポンの館内消費に向けた促進活動もコメントに見られ、総宿泊単価も「上昇傾向」との回答が高まりました。
●客数傾向
客数傾向も50%近くが「増加傾向」と答え、前年実績、前回見込みの回答比率を上回り、改善の様子が窺えます。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、施設の規模により大きな違いが見られました。小規模施設では80%の施設が「増加傾向」と答え、個人客を中心に堅調に集客できている施設が多いと推測されます。一方、大規模施設は「減少傾向」の回答も多く、苦戦している状況が窺えます。
●コメントから見える全体的な傾向
多くの施設でGo Toキャンペーンを享受するコメントをいただきました。また、グレードの高い客室や食事の販売が好調により単価アップも実現したとのコメントも寄せられています。
忘新年会の状況 - コロナの不透明な状況によりほぼ壊滅状態
忘・新年会の状況についての回答を右表にまとめました。前年調査の見通しと比較しました。
●客単価
客単価は前回見通しに対して、「上昇傾向」との回答は増加していますが、それ以上に「下降傾向」が倍増しています。
●客数傾向
客数傾向は、当館、地域とも「減少傾向」が80~85%を占め、今年の忘新年会需要についてはほぼ壊滅的な状況が窺えます。
いただいたコメントにも、多人数の宴会需要がほぼなくなっている状況から、見込みは無しとの回答が多くありましたが、それだけでなく、宿泊入込の状況や感染防止の配慮から、宴会の販売を止めている、あるいは断っている施設も見られました。
冬の見込み - 施設の規模等により先行き感もばらつきが生じる
冬(12月~3月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも「上昇傾向」と回答した施設は半数以上に上り、「横ばい傾向」も含めると80%以上となり、単価の維持、上昇により収益を確保しようとする姿勢が見られました。
●客数傾向
客数傾向(当館)については「増加傾向」との回答が35%ありましたが、「減少傾向」も40%を超え、先行きに慎重な施設も多く見られました。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、規模が小さいほど「増加傾向」と回答する比率は高くなりました。特に小規模施設では、62%が「増加傾向」と回答しており、集客では堅調な傾向が窺えました。
一方、大規模施設では約6割が「減少傾向」と回答しており慎重な見方が窺えました。
●コメントから見える全体的な傾向
Go Toキャンペーン等の施策により1月までは、予約状況も堅調に推移しているとのコメントも見られました。
一方で、2月以降については予約進捗も1月までとは大きく様相が変わり、見込めないとのコメントが多く見られました。Go Toキャンペーンの延長を期待する声も多くありました。
施設からのコメント(抜粋)
今回も多くのコメントをいただきました。Go Toトラベルによる集客や単価の維持・向上の声が多く見られました。
一方で忘新年会は、厳しい状況とのコメントを多数いただきました。
【いただいたコメント】
●Go Toの影響・恩恵にて高単価客室の受注が増加しております(北海道)
●忘新年会の問い合わせは多少ありますが、既に金土曜日が満室の為、お断りしています。(岩手県)
●Go Toトラベルにより9月~1月は過去最高ペース。2月以降もGo To延長見込みの為期待大。忘新年会はコロナ対策として原則お断りしています(山形県)
●Go To効果で宿泊は好調。特に東京が加わった10月以降は、温泉付きのグレードの高い客室は、ほぼ連日満室(栃木県)
●忘年会はほぼゼロ。単価もあってないような状態です(長野県)
●Go Toキャンペーンにより高単価のお客様が増加(岐阜県)
●会社、学校、行政とも忘新年会はなし。個人的に多少の集まりはあり静岡県)
●1月までは良いが2月以降は非常に予約状況が悪い(三重県)
●ビジネス利用も多い一般客室から観光および室内滞在中心の高価格な客室利用が増えた。Go Toトラベルの効果もあると思う(島根県)
●忘年会新年会は壊滅的であり、宴会は大幅減少(高知県)
●露天風呂付の単価の高い部屋が売れているため、宿泊単価は上昇しております(島根県)
Go Toキャンペーンの取り扱いは感染状況により変更も検討され、今後の効果は流動的とみるべきかもしれません。やはり、Go To後の販売戦略が重要な意味を持つと考えられます。ひき続き皆様に有益な情報をお届けしてまいります。
弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。