第77回 短観アンケート「2020年 夏休みの実績 秋の見込み」
リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。このほど、第 77 回アンケート (9月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
引き続き新型コロナウイルスの感染症の収束が不透明な中で、ご協力いただきました皆様には心からの御礼とお見舞いを申し上げます。
夏休みの実績 - 前回見込みに対しては改善傾向に
夏休み(7月下旬~8月末)の実績についての回答を、下記の通りまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価・総宿泊単価ともに、前回夏の調査時の見込みに対して、上昇傾向が45%を超え改善傾向が見られました。
個人客比率の高まりとともに、Go Toキャンペーンの効果もあり、単価については上昇の傾向が高まりましたが、一方で下降傾向の回答も前年比では増加しており、二極化が進んでいる可能性もあります。
●規模別総宿泊単価
規模別総宿泊単価では、規模が大きいほど「上昇」の比率が高い結果となりました。一方で大規模施設では「下降」傾向も他の規模に比べ高い比率になっています。
※小規模施設(30室未満)、中規模施設(31室以上99室未満)、大規模施設(100室以上)
●客数傾向
客数傾向(当館)は、前回の見込み時からは改善しましたが、7月下旬~8月上旬の感染拡大により大きくブレーキがかかることになり、前年実績に対しては大幅に悪化しました。東京や団体の集客が見込めない中で、県内、近隣の個人客を中心とした集客に頼らずを得ず、客数は限定的になったものと思われます。
●コメントから見える全体的な傾向
個人客中心の旅館・ホテルはGo Toキャンペーンの影響もあり、好調に推移とのコメントも見られる一方で、これまで団体客が中心の施設では、集客に苦戦しているとのコメントをいただきました。
秋の見込み - コロナの完全収束が見えない中で不透明感が続く
秋(9月~11月)の「見込み」についての回答を、下記の通りまとめました。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総宿泊単価とも夏休み実績と比較してやや弱含みの見込みとなりました。両単価とも約3割が「横ばい」、約3割は「下降」の見込みとして、単価維持には慎重な姿勢を示しています。
●客数傾向
客数傾向については引き続き「減少」の回答比率が非常に高く、Go Toを見込んでも先行きの見通しは厳しく、客数の復活には程遠い状況が伺えます。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、規模が小さいほど「減少」と回答する比率は低くなり、小規模施設では半数弱が「横ばい」または「増加」となりました。小規模施設は個人客が中心であることが想定され、団体の落ち込みに対して、影響が少ないものと推測されます。
●コメントから見える全体的な傾向
秋に向けては、夏休みに好調だった施設はGo Toキャンペーン等の施策により維持を期待するコメントが多く見受けられました。
また修学旅行の問い合わせ相談も増えつつあるとのコメントもありますが、コロナの収束状況が見えない中でキャンセルも見据えた慎重な対応をとっている施設もあるようです。
施設からのコメント(抜粋)
今回も多くのコメントをいただきました。地域限定キャンペーンやGo Toトラベルを期待する声が多く見られました。
また、キャンペーンも活用することで前年並みやそれ以上の実績をあげられている施設様の声もいただきました。
【いただいたコメント】
●Go Toのため、高単価商品の売れ行きが良くなり、単価アップにつながっております(北海道)
●6月後半~7月前半は前年並み、7月後半~8月前半は過去最高水準、8月後半~秋もGo To効果で前年超えの見込み(山形県)
●ネット戦略、HPなどの改修により、昨年並みの数字を残すことができそうです(栃木県)
●Go To効果により、高付加価値商品(オールインクルーシブプラン)が販売増となる(群馬県)
●首都圏のお客様の動きが止まってしまった事などから、例年の売り上げの50%を確保するのがやっと(長野県)
●Go Toおよび県民限定の宿泊割の効果が大きく出て、客数・売上とも秋以降も堅調に推移している(石川県)
●Go To補助で単価が少し上がっている(静岡県)
●夏はGo Toの影響あり。秋以降は修学旅行の問い合わせが上昇(三重県)
●マイクロツーリズム・近場でしかも郊外への旅の需要が高まっており、中心部から40分足らずの当館にたくさんのお客様が来館(大阪府)
●県独自の割引とGo Toの併用が効果、海水浴場がオープンできたことも良い要因であった(和歌山県)
●安全性をアピールし販売をしてはいますが、首都圏・関東方面からの旅行の流れが悪くなり、全体的な集客が落ち込んでいる(島根県)
●お盆以降学校が始まり夏の予約は動かなかった(佐賀県)
弊社では今後も各種アンケートを実施してまいります。今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。