第92回 短観アンケート「2024年 春の実績 夏休みの見込み」
リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。
このほど、第 92回アンケート (6月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。
春の実績 - 単価上昇傾向も客数は伸び悩み
春(3月~5月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価では「上昇傾向」が52.0%という結果で、前年の「上昇傾向」の72.8%を大きく下回り、全国旅行支援終了の影響が見られますが、「横ばい傾向」とあわせると9割以上と単価の上昇傾向は続いていると言えます。稼動重視ではなく、高単価化への意識的な取り組みをしているというコメントもいただいています。
●客数傾向
客数傾向は、前回調査で「増加傾向」との見込みが29.8%であったのに対し、実績では34.7%となりました。一方で、「減少傾向」という回答は26.5%と、見込み及び前年実績を上回る結果となりました。団体需要が回復し、お問い合わせが増えているというコメントもいただいています。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、大・小規模で「増加傾向」が約3割に留まりましたが、中規模では37.7%とやや高い結果となりました。北陸割の影響を受けているというコメントも目立ちました。
●コメントから見える全体的な傾向
インバウンド需要が完全に回復し、多くの外国人客の訪問があるなか、国内の客数は昨年の全国旅行支援実施期間と比べ、減少傾向にあるようです。同時に能登地震の影響により北陸割開始まで客数が激減していたというコメントもありました。
夏休みの見込み - 単価維持するも集客動向は不透明
夏休み(7月下旬~8月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。
●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総消費単価ともに「上昇傾向」が約5割となりました。
地域別では、甲信越で全ての施設が「上昇傾向」と回答していますが、その他地域では大きな差はみられませんでした。
●客数傾向
客数傾向(当館)では「上昇傾向」との回答は26.5%と、昨年の39.8%を下回っており、「横ばい傾向」が昨年の39.8%を約10%ほど上回っています。地域別では、「減少傾向」が北海道・東北、近畿、四地域別では、「減少傾向」が北海道・東北、近畿、四地域別では、「減少傾向」が北海道・東北、近畿、四国・九州で3割を超えています。
●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、小規模で35.0%が「増加傾向」と回答しているのに対し、中規模施設では、22.6%と低くなっており、大・中規模でより慎重な見通しがうかがえました。
●コメントから見える全体的な傾向
全体としてGW後の予約の動きが遅く、夏以降の見込みが厳しいというコメントが目立ちました。一方で、春に引き続きインバウンド需要が見込めている施設が多いものの、一部地域ではいまだインバウンド需要が弱く、二極化しているようです。全体として、夏以降の見通しは厳しく、予想が難しいという意見が多い状況です。
昨年に引き続き商品整備に取り組んでいる施設もあり、単価の維持・向上への努力を続けられていますが、多くの施設で単価設定の難しさを感じているようです。
施設からのコメント(抜粋)
今回も多くのコメントをいただきました。
【いただいたコメント】
●ゴールデンウィークが日ならびの影響もあってか、日にちに偏りがあったが前年実績は越えた。夏休み期間はリードタイムが長くなっている傾向。(北海道)
●昨年の助成金を思うと、客数(需要)の減少は避けられないところと思われる。エリアとしての高単価化が集客の鈍化となった可能性がある。(岩手県)
●ファミリー層、特に赤ちゃん連れが多い。助成金を利用した単価上昇が効いている。今後とも高単価を裏付ける価値提供を肝としたい。(岩手県)
●旅行支援の受付が停止した昨年4月から今年の5月にかけて宿泊人員の対前年割れが続いている。単価アップにより売上は前年を超える月もあるが、仕入や人件費その他の経費増加により、利益が厳しい状況が続いている。(山形県)
●客室や施設のリニューアルを行っていることから単価UPに繋がる。夏場は常に満室傾向であることから客室数は横ばい、売上は上向きとなる。(栃木県)
●コロナが沈静化し、宿泊人数は徐々に増えてきている。但し、2食付きが人手不足の関係でフルに提供できない日があるため(素泊まりや一泊朝食付プランで販売)、値上げ分の宿泊単価アップ分を相殺してしまい。宿泊単価は横ばいあるいは微減になることが予想される。(栃木県)
●客数においては、高付加価値化事業を行っており、不稼働部屋があるにもかかわらず、昨年以上の数字を残せた。(神奈川県)
●春の実績:客数は前年と同程度の稼動を維持でき横ばい傾向だが、単価アップを図り総宿泊単価は上昇傾向。夏休みの見込み:前年並みに予約が入っている。春・夏ともほとんど個人客(山梨県)
●夏期は客層がファミリーに転換する為、お子様向けのイベントを開催。お子様がリピーターとなり親、祖父母が予約を入れていただいている。(静岡県)
●客室の改装にて単価UP インバウンド平日稼働が好調(静岡県)
●7月中旬に、3年間の高付加価値事業の改修工事が完了し、完全フル稼働となるが、インバウンドは少なく、日本人による国内旅行動向もつかめず、予想が難しい局面です。(三重県)
●北陸割の影響で、例年伸び悩む4月の予約が大きく動いた。5月はその反動とGWの日並びの悪さで落ち込み、3月~5月全体でみると減少傾向となった。(富山県)
●地震の影響もあったが、北陸新幹線の開業により潮目もかわり国内旅行需要を中心に回復傾向。また、法人・一般団体旅行も増加傾向。(石川県)
●インバウンドの増加による影響。但し国内客は減少傾向にあり(京都府)
●個人の動きが鈍化している。お盆前後の動きは見られるが平日が動かない。(兵庫県)
●前年の旅行支援が終了したため現状は横ばいです。直近のご予約が多い為、今後増加していくかと思います。(長崎県)
弊社では、ひき続き皆様に有益な情報をお届けできるよう活動してまいります。
今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。