株式会社リョケン

3分間アンケート「インバウンド集客と受入対策 状況調査」報告

訪日外国人は2023年に年間約2,500万人となり、コロナ以前の8割まで回復がみられています。また、2024年4月には2019年同月比で104.0%と上回る水準で推移しており、日本旅行への需要は一層高まっています。
個人手配での来訪も85.4%と、2019年の76.6%から高まる傾向にあり、旅館の外国人個人客対応の強化が求められているといえます。(※日本政府観光局「2023年 年間値の推計」)
当リョケン3分間アンケートでは、2014年、2016年、2019年に続き、4回目となる「外国人客入込・インバウンド対策状況調査」を実施いたしましたので、結果をご報告いたします。
現状を把握・確認いただき、これからの販売活動における参考資料になれば幸いでございます。

1.調査概要

(1)アンケート回答数
▶ご回答旅館・ホテル軒数:41軒
●アンケートはメール及びFAX送付にて依頼
●調査期間:令和6年4月16日~5月10日

 

(2)回答旅館・ホテルの収容規模と宿泊単価
▶客室数平均:81.2室

▶収容定員平均:335.0名

●小規模(~30室)    19.5%
●中規模(31~99室)  51.2%
●大規模(100室~)    29.3%

 

▶回答旅館の基本宿泊単価平均:22,831円

 

▶回答旅館の基本宿泊単価別構成

●20,000円以上      60.0%

●15,000~20,000円未満  25.0%

●15,000円未満      15.0%

2.過去1年間における「外国人客」宿泊入込実績

年間総宿泊客に占める外国人客比率

▶外国人客比率の平均:8.9%

 

●施設別にみると

小規模施設 5.2%

中規模施設 13.2%

大規模施設 4.0%

 

●外客比率の高い回答旅館ベスト3

ナンバー1(所在:関東)40.1%

ナンバー2(所在:近畿)40.0%

ナンバー3(所在:近畿)36.6%

総宿泊客数に占める外国人客の比率は平均で8.9%でした。
外国人客比率の高い施設では40%を超える回答もみられました。
規模別では中規模施設で高い傾向がみられ、30%を超える回答はいずれも中規模施設のものでした。

外国人客宿泊客の予約経路

予約経路別の内訳では「ネット予約サイト」が50.7%と過半数を占めています。
外国人客においてもネット予約サイトの利用が主体となっていることがうかがえ、こうした需要を取り込むべく、後述の通り、国内旅行サイトの英語版や海外宿泊予約サイトに登録している施設は75%にのぼっています。一方、自館ホームページでの直予約については、外国語ページを作成している施設は約9割にのぼりますが、HP直予約での獲得は9.5%にとどまっています。

外国人客宿泊実績の「国・地域別」内訳

「国・地域別」の内訳では台湾が35.5%を占めています。各国・地域の最高比率においても台湾が100%を占める施設もあり、台湾の方からの高い需要が見られています。

3.外国人客集客のための対策

外国人客集客のための対策を実施している施設は88%にのぼりました。
外国人客集客の施策を行っている施設において、団体客向けの施策を行っている施設は半数であったのに対し、個人旅行客(FIT)向けの施策はすべての施設で行われています。旅館・ホテルにとってより高質な客層を獲得したい意向がみてとれます。

個人旅行客(FIT)の集客のための施策内容について

FIT向けの施策内容をみると、「自館のHPに外国語ページを設けている」が88.9%と高く、直接予約を強化する動きが見られています。

【自館HPに設定している外国語ページ】

対応している言語については100%全ての施設で英語に対応しているほか、中国語が約6割、韓国語は約4割という状況です。

【外国語での予約はできるか】

6割の施設が可能と回答しています。

【外国語ページの翻訳方法について】

約7割の施設が外部業者に委託しており、外国語版の作成を自社で行っている施設は1割強にとどまりました。

【国内主体の宿泊予約サイト内の「英語版」等に登録しているか】

約9割と高い数字であり、昨今のネット予約の普及率の高さを表しています。

【海外の宿泊予約サイトの登録について】

海外予約サイトに登録している施設のうち、Booking.comには約8割、agodaは約7割、Expediaは約6割の旅館・ホテルが登録しています。

(主に団体客)集客のための施策内容について

主に団体客集客のための施策内容については「自社で相手国に出向き、旅行会社等にセールスしている」と「組合等の団体で相手国に出向き旅行会社等にセールス」が、44.4%で実施されています。

【自社で相手国に出向き旅行会社等にセールスしている施設】

訪問している国は台湾が75%と最も高く、先述の「国・地域別の宿泊実績」内訳へ、結果として表れています。

【組合等の団体で相手国に出向き旅行会社等にセールスしている施設】

訪問している国は台湾が75%と、ここでも最も多くセールスに取り組まれています。

4.外客接遇のためのインバウンド対策

接客スタッフに関する対策について

外国人客に対する接遇面の対策について尋ねたところ、約9割の施設で「接客スタッフに関する対策」を行っているという結果でした。

取り組み内容としては「外国語堪能なスタッフの常駐」「外国人スタッフの常駐」「翻訳端末・翻訳アプリを活用」などが積極的に取り組まれている一方で、インバウンド受け入れに向けた研修を行っている施設は、15.4%という結果でした。

備品などに関する対策について

備品などの受け入れ整備の面では、「外国語の各種印刷物等を用意」が76.3%で最も大きくなっています。中でも館内案内図や料理、ドリンクのメニューなどが多くの施設で作成されています。「外国語の滞在マニュアルの用意」や「館内サイン等での外国語表記」といった取り組みは47.4%で実施という結果になりました。

【用意している印刷物】

「館内案内図」が73.3%と多くの施設で作られていますが、それ以外の「飲物等メニュー」をはじめとした印刷物は50%以下という結果にとどまりました。

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