株式会社リョケン

第88回 短観アンケート「2023年 春の実績 夏休みの見込み」

リョケンでは、全国の旅館・ホテル様を対象に、四半期ごとの実績や見込みをベースにした業界動向調査 「リョケン 短観アンケート」 を、継続的に行っております。
このほど、第 88回アンケート (6月実施分) の集計がまとまりましたので、以下の通りご報告させていただきます。
ご多忙のところご協力いただきました皆様には、心より御礼を申し上げます。

春の実績 - 単価、客数ともに前年を上回る

春(3月~5月)の実績についての回答をまとめました。今回調査結果とともに前回調査の「見込み」と前年調査の「実績」とを比較しています。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価では「上昇傾向」との回答が72.8%と多数を占め、前回調査時の見込みを上回っています。前年に続き、さらに単価向上がすすめられていることがうかがえます。地域別では、関東、甲信越、北陸、四国・九州で「上昇傾向」が8割を超えています。

 

●客数傾向
客数傾向は、前回調査で「増加傾向」との見込みが半数であったのに対し、実績では61.2%となりました。一方で、約2割は「減少傾向」と回答しています。地域別では、「増加傾向」との回答が概ね6割を超えていますが、東海地域では33.3%にとどまっています。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、小・中規模で「増加傾向」が6割を超えていますが、大規模では55.2%と比較的低く、「減少傾向」と回答した施設が3割を超える結果となりました。

 

●コメントから見える全体的な傾向
単価、客数ともに6割以上が前年を上回る実績を上げており、コメントからみられたその要因として、全国旅行支援の駆け込み需要やインバウンドの回復などが挙げられています。物価高騰も踏まえた単価の向上への努力も数多くコメントされていました。

88th.春の実績

夏休みの見込み - 単価維持するも集客動向は不透明

夏休み(7月下旬~8月)の見込みについての回答をまとめたものが右表です。

 

●基本宿泊単価・総宿泊単価
基本宿泊単価、総消費単価ともに「上昇傾向」が5割を超えており、「横ばい傾向」と合わせると9割を超えています。地域別では、甲信越で「上昇傾向」が7割となっていますが、その他地域でも大きな差はみられませんでした。

 

●客数傾向
客数傾向(当館)では「上昇傾向」との回答は4割、約2割が「減少傾向」とみられており、一部で厳しい見通しもあるようです。地域別では、「増加傾向」との回答が中国で66.7%、東海で53.3%と高くなっています。

 

●規模別客数傾向
規模別の客数傾向(当館)では、大規模で44.8%が「増加傾向」と回答しているのに対し、小規模施設では34.6%と低くなっており、中・小規模でより慎重な見通しがうかがえました。

 

●コメントから見える全体的な傾向
5類への分類移行もあり、アフターコロナでの旅行意欲の回復と3年ぶりの規制のない夏休みに期待する声がある一方で、全国旅行支援終了後の反動や、個人客の予約間際化、団体客の戻りの遅れといったコメントが目立ち、先行きへの不透明感が感じられます。エリアにもよりますが、インバウンドの増加についてのコメントも増えています。

 

商品整備に取り組んでいる施設もあり、単価の維持・向上への努力を続けられていますが、その中でも多くの施設で物価高騰や採用難に直面している状況が色濃くうかがえました。

88th.夏休みの見込

施設からのコメント(抜粋)

今回も多くのコメントをいただきました。

 

【いただいたコメント】

●ほぼすべてのプランの料金を上げました。全国割が終了してから少しブレーキがかかっています。(栃木県)
●3月まではそこそこ良かったが4月、5月と苦戦。GWは昨年並みに入ったがGW以降は不振。夏休みの動きも現在はほとんどない。(群馬県)
●人手不足で部屋数を制限しています。今後の課題となっています。(神奈川県)
●インバウンドが増加傾向だが、日本人旅行者は思ったほど伸びが少ない。昨年よりは多いが、コロナ前より日本人の動きが見えない。(新潟県)
●3月は安価プランにて集客に重点をおいた。4月、5月は単価重視での販売を行った。(長野県)
●電気代、ガス代の高騰を受けて4月より単価アップをした。
全国旅行支援、インバウンドの増加の追い風により客数は増加傾向。夏休みも客数は増加傾向。(山梨県)
●4室リニューアルしたため、それにともない客単価を少しづつアップすることに成功している。(静岡県)
●高付加価値化事業にて客室改装にともなう単価のUPを全体に実施したのが奏功。(三重県)
●日本国内旅行客のほか、インバウンドが徐々に戻っている。個人客だけでなく、グループ団体の問い合わせも増加していて、忙しかった。(兵庫県)
●個人客の動向はコロナ禍以前に戻りつつありますが、本来の、団体客が入る時期の回復が遅れている。(兵庫県)

弊社では、ひき続き皆様に有益な情報をお届けできるよう活動してまいります。
今後ともアンケートへのご協力を 賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。