株式会社リョケン

旅館経営の知恵

-リョケン研究員が
お届けする経営のヒント-

旅館のユニバーサルツーリズムへの対応(第四回)

接客現場のオペレーション

前回に引き続き、事例に基づく対応ポイントについて考えていきます。

事例に基づく対応ポイント

【客室】
客室はお客様がもっとも長い時間を過ごす場となります。また、パブリックとは異なり、スタッフの目が届かないプライベート空間になるため、お客様にとって極力不便のないよう配慮をしていきましょう。

 

a)客室の設備、備品の場所、使用方法について丁寧に伝える

 

基本的なことですが、客室内の設備、備品について、どこに何があるのか、どのように使えばよいのかを丁寧に伝えることが大切です。またその際、その備品が使いづらい場所に置いてあるようであれば手に届きやすい場所に移動します。
視覚に障害のある方向けに、触ってわかるように、内容物によりボトルの形を変えているバスアメニティもあります。またもっと簡単に、ボトルに輪ゴムを巻いて、その本数でそのボトルの用途を伝えることもできます。お風呂に入る際に、タオルを多めに必要とする方や、体温の管理が難しく客室の温度調整が必要な方などもいますので、この時点でこういったお客様の要
望をしっかりと確認しておきましょう。

 

b)洗面台下の配管隠しを折りたためるようにする

 

洗面台下にはふつう配管をお客様に見せないために幕板が張られていますが、車いすの利用者にとっては、多くの場合、これが障害となります。ある旅館ではこの幕板を必要に応じて折りたためるようにしています。

 

c)トイレにおむつ用のビニール袋を設置する

 

介護用おむつやパッドなどの利用者が意外と多く、その使用済みのごみは重くかさばるものです。おむつ用の袋を女性用のサニタリーボックスの横に置いている施設もあります。

 

d)客室内の意匠にこだわる

 

「ユニバーサルデザイン」というものを意識すると、バリア(障害)の排除ばかりに目が行ってしまいがちです。しかし、意匠面にもこだわり、その施設の空間も楽しんでいただくことはとても大切です。
これはあくまで一例ですが、身体が不自由な方の中には、天井に目を向けている時間が長い方も多いとのことから、天井の意匠にもこだわり、和紙や木目調のデザインを取り入れている施設もあります。

 

次回も引き続き事例に基づく対応ポイントについて考えていきます。

 

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